[アルパイン]春吹雪の御在所岳 前尾根で夫婦クライミング@藤内壁

2021/04/21

2021年 アルパイン クライミング 山行記録 雪山 登山 日帰り山行 鈴鹿山脈

t f B! P L

吹き付ける風雪、濡れる岩、滑る足

御在所岳の人気クライミングルート前尾根、そんな前尾根にいざ。前日は雨が降っていたが、当日は晴れ予報らしいので問題ないだろう。ということで向かったのだが、、、そこには吹雪が待っていた。

山行概要

山行形態:日帰りマルチピッチ

メンバー:がんちゃん、妻

主な装備:50mダブルロープx2、ヌンチャク12本(内アルパインヌンチャク8本)、カム#0.5~#3x1セットとプラスで2を追加、ナッツ1セット。ナッツは使わず、カムは0.75以上のみを使用した。


開始:6時47分

P7取り付き着:8時34分

登攀開始:9時5分

登攀終了(P2着):16時20分

終了:19時7分

山行時間:12時間20分


濡れた岩でナチュプロ祭り

<アプローチ>

蒼滝無料駐車場に車を停める。ここは6台強しか停められないがトイレあり。ケチな私はロープウェイ駐車場には停めない。ロープウェイ駐車場までは10分ほど。6時47分ごろスタート。藤内小屋までは55分ほど。小屋でもう一度トイレを済ませビールを横目にまずは藤内壁出合を目指す。


晴れ予報だったのになぜか途中でポツポツと雨が。と思ったら雹が降ってきた。先が思いやられる。そしてこの不安は的中してしまうのである。さて、途中の渡渉ポイントが前日の雨の影響か結構増水しておりまごつくが、濡れたくないのでさらに200mほど足場の悪い三滝川ゴーロを進んで渡渉できそうなところを探す。ある程度進んで対岸に渡れたが、今度は裏登山道へ上がるのがズルズルで少し苦労した。


兎の耳への渡渉ポイントが増水しており濡れるのは避けられなかった


小さな斜瀑


上がってすぐに藤内壁出合の看板に着き、そこから藤内壁方面の左へ。どこもかしこも水量が多くなかなか大変だ。テスト岩を越え、前尾根の取りつきP7へ着くと先行PTが下部を登っているところであった。ここまで小屋から50分。少し時間を食ってしまった。後ろからも1PT来ていた。ここでアクションカメラのヘルメットマウントを忘れたことに気付き、意気消沈したが気持ちを切り替え装備を用意する。


藤内壁出合

テスト岩、ここを越えるとすぐにP7取り付きが現れる。


<1ピッチ目:P7下部ノーマルルート、Ⅲ+~Ⅳ>

がんちゃんリード。先行パーティは蛇の皮5.9を登っていた。30分程経ってルートが空き登れるようになったので離陸。私たちはノーマルルートを選択。ハンドジャムを効かせ、カムを使っていく。中央のクラックを越え右側に回りこみ、木のあるところからからもう一段上がっていく。

P7、先行PTは蛇の皮を登っている

先行パーティはカンテで苦労しているようで待つ必要があったので、その手前の終了点でピッチを切る。トポではVと表記があるが、おそらくP7上部のカンテを含めているのだろうか。下部だけであればⅢ+~Ⅳぐらいに感じた。上部を含めるとⅤぐらいかな?

前尾根はクラックのルートが多く、NPのいい練習になる。今回も全行程を通して各種カムを多用した。大き目のカム(#0.75~#2あたり)が必要に感じた。ルートによっては2セットあれば良さそう。#0.5以下は使わなかった。ナチュプロ祭りだ!

<2~3ピッチ目:P7上部、Ⅳ~Ⅴ>

妻リード。終了点から目の前のカンテを右もしくは中央から超えるが、ちょっといやらしい。右側からは特にホールドが乏しいので難しそうで、右、中央共に妻がトライするがビビってしまい乗り上げられそうにないので、左から周りこんでクリアした。左から周りこむとⅢぐらい。

P7上部のカンテ、私は中央から突破

私はせっかくなのでカンテを越えリッジに乗り上げる。といっても中央突破である。右側はいやらしそうである。中央Ⅳ、右側Ⅴといった感じか?

カンテを乗り上げたリッジ部分から見下ろす

終了点はボルダーのような丸い岩にボルトがありそこで取っていた。といってもその丸岩を越える必要があり、なかなか掴みどころがないのでちょっとした核心であるが、左足を大きく上げて乗り込めば問題ない。ここは私がリードして数メートル進んだ先の灌木でピッチを切りビレイ。

ちなみにP7上部は妻がリードした唯一のピッチである。それ以外は全部私がリードした。つるべの方が効率はいいが、つるべじゃない練習も積んでおくとそれなりに無駄がなく進められるようになるので、あえてやっておくのもいいと思った。というかこういうこともあるので。

<4~5ピッチ目:P6リッジルート、Ⅳ>

がんちゃんリード。P6まではコンテで進む。P6は主にリッジルートⅣとチムニールートⅣ、フェイスルートⅤなど様々あり、我々はリッジルートを選択。下部は比較的優しいが、上部が厄介であった。エスケープする場合は左の北谷側から。


P6取り付き

P6の左面、支点は無いが木のあたりとかサクッと登れそうだ

P6上部はこのピッチの核心ともいえる3mほどのほぼ垂直の壁(フェイス)がある。のっぺりしておりホールドが乏しいのだが、ここで雹の降り具合が強くなり岩が濡れてしまう。しかも風も強く寒い。濡れてツルツルの壁をなかなか超えられず、ひとまず最後の壁の手前のチムニー真上の終了点でピッチを切る。

P6上部のフェイス

フェイスの真ん中あたりで1ピン取れるので、ヌンチャクをかけA0を使いながら妻にお尻を押し上げてもらい何とか登れた。そこでビレイしてP6終了。それにしても降ったりやんだり、山の天気は忙しいものだ。


フェイス上部の終了点から見下ろす、後続PTの足元がチムニー

<5ピッチ目:P5北谷側ノーマルルート、Ⅲ>

P6からP5までは踏み跡を少し移動する。もはやP5のことはよく覚えていないが、北谷側のノーマルルートを登ったように思う。

P5からP6を望む

<6ピッチ目:P4北谷側凹角ルート、Ⅲ>

がんちゃんリード。距離は長いが優しめでほとんど支点を取らずに進める。結構ランナウトする。

P4北谷側?

ボルトはほぼないので取る場合はカムなりなんなりで工夫して取らないといけない。サクサク登れて高度感抜群なので気持ちのいいピッチであった。

P4終了点より、高度感があり気持ちがいい

右奥がP3

<7ピッチ目:P3下部スラブ右、Ⅲ>

がんちゃんリード。左側のAスラブ?は登らず簡単そうな右側から登った。後続の2PTはみなスラブから登っていた。P3上部のチムニー手前でピッチを切れるがそのままハイライトであるチムニー右のクラックに挑戦。しかしなかなかうまくいかない。後続も追いついてきたのでチムニー手前でピッチを切り先に登ってもらう。


P3下部スラブ、この右側から登った

P3下部、この辺りから取り付いた

<8ピッチ目:P3上部チムニークラック、Ⅴ>

がんちゃんリード。2PTに先行してもらい登り方を見る。この辺りで天気が悪化して風も強くなり本格的に雹が打ち付ける。そして岩がかなり濡れてしまった。さっきより状態が悪いじゃないか、、、手もかじかんできた。


P3のチムニー手前のビレイ点より、吹雪と虹、写真右側はスラブルート

とりあえず登り方を見れたので真似してみるが中々難しい。チムニー側に入りこみ、何とか体を押し上げてクラックにカムを突っ込みまくる。そしてA0祭り。チムニーはどっぷり濡れてズルズル滑るので、右側クラックに何とか移動して足を突っ込み何とか登り切った。チムニー側に残してきたヌンチャクを回収するの大変だろうなと心の中で思ったが、妻よ、頑張ってくれ(実際にかなり苦労していた)。

P3チムニー(写真左側)の右側クラックを登った

P3クラック上部から見下ろす

クラック上からP3ピーク

<9ピッチ目:P3~P2、Ⅲ>

がんちゃんリード。P3のクラックを越えたあと、P3ピークまで。ピークに終了点があるが、かなりの強風で寒かったため、P2のコル側に降りて風をよけながらピナクルでビレイした。ただし、コル側に降りるとロープの流れが非常に悪くなり支点もないので、ピークボルトでピッチを切った方がよい。ここでビレイ解除してP2へ移動。

P3ピーク裏

P3ピーク裏のピナクルでビレイ

<下山>

P2ヤグラに着くころには16時過ぎになっていた。天気も悪いし濡れてるし、雪まで積もり始めていた。残念だがヤグラは登らずに装備を解除。暫し休憩したのち下山した。

P2ヤグラ、薄っすら雪が積もり濡れ濡れ

下山ルートはヤグラのコルから前壁ルンゼを下り裏登山道へ降りる。ルンゼは踏み跡は割としっかりしているが、急勾配で浮石が多く不安定なため状態は良くない。下山時には雹は止んでいたが、濡れていたので慎重に下った。



以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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