[クライミング]福井の景勝地・蘇洞門で灼熱のDWSディープウォーターソロ

2024/07/30

2024年 アルパイン クライミング 山行記録 登山 日帰り山行 無雪期

t f B! P L

Sotomo Deep Water Solo

ディープウォーターソロ。福井の蘇洞門で出来るらしい。その話を最初に聞いた時はパッとしなかったが、調べたら面白そうじゃないか。そもそもディープウォーターソロ、通称DWSってなんぞやって感じではあるが。


はてさて、福井県にある観光名所の蘇洞門(そとも)。そもそもどんなところかというと、福井県小浜市の内外海半島にある、日本海に面した海岸景勝地だ。全長は6kmに及び、一帯には洞門、瀑布、断崖が見られる。まぁ要するに海岸にありがちなちょっと変わった岩場である。詳しい事はWikipedia参照されたし。


特徴的な岩のアーチがかっこいい

そんな場所でDWS、Deep Water Solo。つまりフリーソロのクライミングが出来るのである。落ちたら最後。。。ではなく、海へダイブするのでハーネスも、ロープも不要。落ち方が下手だと多分痛いが。必要なのは濡れてもいいクライミングシューズ。ちょうどガバガバで使い道がないシューズがあったなと思いそれを使う事にした。ちなみに1983年ごろに開拓されたらしい。


ちなみに私はイマイチな落ち方だったのか、お尻の穴がしばらく痛かった。


泳ぎ専門家?のユウタ


というわけで言い出しっぺの福井3兄弟(出身大学がそのあたり)のユウタ、二村、加藤に連れられ、さらに福井メンツのサモサ、ちょっと近いであろうタケちゃんを誘い我々は(クソだるいアプローチ、デプローチがあると知りながら)蘇洞門へと向かったのであった。めでたしめでたし。あ、むらっちもおったわ。ほんでタケちゃんは夜勤に消えたので不参加だわ。

山行概要

日程:2024年7月28日

天気:晴れ

山行形態:DWS

メンバー:がんちゃん、ユウタ、加藤、二村、サモサ、むらっち

主な共同装備:ハーフロープ50mx1、カム#0.1~#2、ナッツ適当に。

結果的にカムは#3~#4も欲しかった。中番サイズのナッツも有効なところがあるが、基本的には横向きの浅いリスが多く難儀した。一応マルチピッチクライミングもできるので装備を用意した。


駐車地とトイレ

エンゼルロードを経由し、標高約600mの駐車場へ。台数は30代ぐらいは停められそうな広いところです。ええ、標高600mですよ。あとはわかりますね。トイレは水が出ず、使えなくなっていました。

山行詳細

アプローチ

行きはよいよい帰りはこわい。標高差600mを駆け降りる。海まで。帰りの事を考えてはいけない。海パンとTシャツで降ったが、道は明瞭でずっと日陰なので快適であった。ちょいトラバースと激下りの往復ビンタと言った感じ。ゆっくり下って1時間10分ほど。

行きはよいよい

登攀詳細

<マルチピッチ>

どうやら2ピッチほどのマルチが出来るらしい。ということをYAMAPの記録で発見ス。やりたかったので事前に参加メンバーに誰か~マルチピッチ~ドラえもん~。と声を掛けたらサモサしか反応しなかった。みんな乗り気ではないらしいが、とりあえず門の左側のラインを登る事にした。

アーチ左側のコーナーのラインを登っていく

1ピッチ目:がんちゃん20m、Ⅳ
フナムシを無視しながら波打ち際から離陸。出だしは簡単。少し上がって左で一つ目のプロテクション。カムを決め右側のコーナークラックに入っていく。

岩は全体的に脆く、小さいカチから、大きいガバまでボロっと剥がれる事も多く信用できない。はっきりいって怖い。何よりも大変なのはこの気温と灼熱の太陽である。途中で50㎝程の岩が剥がれヒヤっとした。場合によっては下を泳いでいる人もいるので要注意だ。


1ピッチ目

コーナー部分は一応日陰ではあるがそれでも暑い。オーバーヒートしないようにゆっくりゆっくりと進んでいくがかなりしんどい。腰にぶら下げた命の水は1.2L。果たして足りるのだろうかと心配になる。

中盤、中腰になれるコーナーテラスに到着したがここからの乗越がちょっと怖い。というかプロテクションがプアすぎて絶対に落ちられない。そして暑さが限界になる。立ち上がると気を失うんじゃないかというレベル。間違いなく熱中症予備軍だなと感じた。いやむしろ初期症状ともいえる。とりあえずカムをきめ、狭いテラスにバランスを取ってしゃがみ込む。

飲み物をがぶ飲み。深呼吸して息を整える。いけるか・・・?
と思い立ち上がるがキツイ。リアルに気を失うんじゃないかと思った。
こんなとこで気を失ったらフォローのサモサにはどうしようもできないだろうし、プロテクションも吹っ飛ぶ気がした。ロワーダウンぐらいはできるだろうが。。。

しかしまあ気合いではこの暑さはどうにもならない。とりあえず回復させるためにまたしゃがむ。水分を補給する。なんてことを繰り返しながら10分ぐらいは経っただろうか。時折、フタムラの声援が聞こえる。助かる。整ってきたので覚悟を決めて立ち上がり、一気ニ登攀ス。第一核心を越えた。しんど。

ビレイヤーも大変だろう。。。二村がサモサに飲み物を持って来てくれた。ありがとう。俺のところまでも届けて欲しい。頼む。

1ピッチ目ブッシュ手前を奮闘する

終盤は左上に見えるブッシュに向かって広めのクラックを左上する。基本的にクラックもだが周りの手がかりもぼろい。ダイナミックな荷重はかけられないのでそろりそろりと登るがそれでもホールド、スタンスがだいぶ海にダイブしていく。ラーク。こっちは全然楽ちゃうねん。ラークちゃうねん。

そしてこのクラック、残念なことに#3~#4サイズなのである。ああ無常。#3以上は基本的に持って行きたくないタイプなのだ。かろうじて引っかかるであろう場所に#2をほぼガン開きで置いておく。心の支えは必要。気持ちの強さ大事、落ちたら一大事。

それにしてもこのコンディション、暑いし脆いし、ホンマに辛かった。
クラックを越え命からがら左上のブッシュ帯に突っ込み日陰でゼーハー言いながら立木にスリングまきまき20mで1ピッチ目終了。まずは水分補給してロープアップ(超ゆっくり)。倒れながらセカンドを待つ。

1ピッチ目終了点から

2ピッチ目:がんちゃん15m、Ⅳ
飲み物が500mlを切る。やばたにえん。流石にきついので2ピッチ目のリードを譲りたくなるい。サモサにいける?と聞くがもちろん無理と返事がきた。分かってた。そう、そうだよ。よく考えると彼女はカムセットした事無いはずw
ナチュプロ?何それ?美味しいの?状態だったようだ。まぁそれを見越して回収しやすい深さにカムをセットしておいてよかった。(そういやナッツキーも持って無かっただろうし)

仕方がない、しばし休憩していくことにする。休憩しててもしんどいけど。左のブッシュを巻けば・・・とも思ったが先が見えないのでやはり直上するしかないか。ということで頑張って登攀開始。

1ピッチ目終了点から2ピッチ目を見上げる

ブッシュから右のコーナーに入り込む。コーナーは全体的に日陰なので一命をとりとめることができる。プアな岩という、ていねていね丁寧に登る。ステミングゾーンあたりからクラックも浅くなり、さらに脆くなる。いったん右寄りに入りプロテクションを取りつつ左に戻る感じで。

2ピッチ目序盤

かろうじて生えている灌木でプロテクションをとり左上。なんとか核心を越える事ができた。トップアウト完了。雄たけびをあげハイマツにスリングを回し倒れ込む。ロープの引きが重い。少しずつロープアップ。そして飲み物が底を尽きた。

2ピッチ目終盤の立木も怪しい

トップアウトしてハイマツで確保

<下降>
踏み跡らしきものは見えるが、進んでみても先がよくわからない。。。というわけで2ピッチの懸垂でハイマツ~1ピッチ目終了点~取り付きと降りたが、1ピッチ目の終了点へはかなりトラバースだったので少し苦労した。何よりも暑い。キツすぎて飲み物を取り付きに置いておいてもらった。

登攀ライン、2ピッチ



<完走した感想>
2ピッチともムーブなどだけでいえばⅢ程度だが、灼熱とプアプロを考慮するとⅤを付けてあげたい。体調的なコンディションが悪いからというのはあるのでまぁ多分Ⅳぐらいといった感じである。兎に角暑かったし、プロテクションも悪いのでオススメはしません。。。

対岸の滝に打たれて身体をクールダウンした

降り立ったあとはガブ飲みからの海にダイブ。カリブの海賊。海水は温いが大分マシになった。対岸から落ちる滝で体を冷やした。本気の熱中症である。

<DWS>

トポを探してもこれといってちゃんとしたのは見つからなかった。岩と雪101号に載っているらしいので岩と雪マスターから入手してみたが、あまりぱっとしない。情報が古く最近の登られているルートの記載は無いようだ。
と探していたらトポがあった。

船着き場前の岩にはルートがたくさんある

高度感抜群

私はOrange Feet 5.7を登った(結局最初に取りついたところは違うとかムラっちに言われて少し右から取りついたが微妙に違うラインだった。まぁなんでもいいけど)。もちろんOSである。フリーソロ怖い()。

アーチの右壁も楽しめる

<ゴールデン・ゲート・エリア>
*ロサンジェルス、20m、5.8
*サンフランシスコ、25m、V
A)Yes We Can! 5.12a, D3+, 11m
1)Full Figured Woman Traverse, 5.9, D1, 2-3m
2)Baby-Chun, 5.6, D1, 4m
3)Baby-Ito, 5.6, D2, 10m
4)Popeye, 5.10a, D2, 12m
5)Sailing, 5.10a, D2, 12m
6)Brutus, 5.8, D2, 12m
7)Olive Oil, 5.9, D2, 10m
8)Spinach, 5.9, D2, 10m
9)Forearms, 5.10a, D2, 10m
10)Mr. Bird, 5.10c, D2, 10m
11)Orange Feet, 5.7, D2, 10m
12)Choose Your Own Adventure, 5.7, D2, <15m

*は岩と雪に掲載されているもの。トポから転載。
D付きの数字は危険度を表しており大体こんな感じ。

D1:安全、クラゲに注意
D2:比較的安全、ちょい傾斜あり
D3:危険、水深が浅かったり、フォールする可能性あり
D4:クレイジー、フォールしてはいけない


A~6

1,6~12

<モーニング・セット・エリア>
こちらは岩と雪掲載のみ。3つ目は読み取れず。。。
・Kou-Kouクラック、10m、5.9
・ペコちゃんハング、10m、5.8
・???

デプローチ

本気の熱中症の私は滝で体を冷やしたり、飲み物飲んだり。とりあえずうなだれていた。本当にやばいと思ったのでシェルパたちにすべての荷物を背負ってもらった。。。圧倒的感謝。ゆっくり2時間ほどかけ高度差600mを登った。途中でもらった塩タブレットを食べたとたん一気に回復。あれって効くんやなと思った。


小浜市でYes we can!

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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