大峰 クルミ谷右俣-裏双門ルンゼ〜巖双門ダイレクト
最近、関西平日クラブやダイソン、紀伊半島彷徨クラブによってベールが剝がされた「クルミ谷の右俣を遡行し、巖双門(いわのそうもん)にダイレクトに抜けるルート(裏双門ルンゼ~巌双門ダイレクト)」を開拓したメンバーの一人、ダイソンにアテンドしてもらった。」
そんな裏双門ルンゼの存在は、どこかの情報によるとスマホを駆使する人々によって発見され登攀されたようだ。良いも悪いもスマホの功罪らしいが、この表現が何を伝えたいのかは全く分からなかった。私の読解力の無さを恨むしかないのだが、そういった記録や顛末をインターネッツのブログで意思表明をすること、これまた興味深い話である。という話をアプローチしながらダイソンと熱く語ったのである。
それはさておき、紀伊半島彷徨クラブによる記録はこちらをご参照ください。
日程:2024年7月15日,9時間22分
天気:曇りのち雨
山行形態:沢登り
メンバー:がんちゃん、ダイソン
主な共同装備:ハーフロープ60mx1、ハーケン各種、カム小さいのいくつか、オフセットナッツ
カムは#0.75ぐらいまでしかもっていかなかったが、#3あたりまであると役立つと思います。トラバース、屈曲点が多いので(効果があるかは知らないが)プーリー付きカラビナも多用しました。
駐車地
熊渡に駐車(5~6台程度駐車可能)。登山ポストあり。トイレなし。たまたまだろうか、かすかにドコモの電波が入った。
山行詳細
アプローチ
いわゆる関西最難関の一般ルート?とも呼ばれる双門ルートを進む。釜滝でキリクチを眺め、美味しいのだろうかと思いを馳せる。
トレースを辿り、クルミ谷出合からはこのルートを外れ右俣へ進む。ダイソンは登攀意欲が無いらしく、そもそもクライミングギアすら置いていこうとしていたので阻止した(というか前日時点でそう言われた)。
私は巖双門も見たことないし、そこまで抜けたいと説得する。全リードしてくれるならいいですよとのことで、なんとか丸め込む事に成功した。ホッ
1ピッチ目:ダイソン、10m、Ⅲ
わらじさんは左岸側を登っているようだが、裏双門の滝下に抜けたいので裏双門滝前衛のチムニーへ。直線的で短いチムニーだが抜け口が少し被っている。
あれだけ登攀は嫌だと言っていた高所恐怖症のダイソン、なぜかやる気が出てきたのかリードするというではないか。前回もこのピッチをリードしたようだ。
水を浴びながらの登攀となる。危なげなくさくっと抜けてダイソンのコール「一旦ビレイ解除で」というので歩きでドンドコ進むのかと思ったがそんな事は無く普通にピッチを切っただけであった。「一旦」とは何だったのか、というやり取りをしながら裏双門の滝下へ。
雨が降った影響もあり、多少の水流があるがそれほど多くは無い。冬はこれが氷瀑になるようだが下部が繋がるかは分からない。もしかしたらアイスクライミング出来るかも・・・?
2ピッチ目:がんちゃん、50m
終了点から少し右に歩きブッシュ帯へ。ロープはいらない程度らしいがダイソンがロープを出して欲しそうにこちらを見ている。というわけでノービレイで一応ロープを引くことに。
ブッシュをかき分け進む。途中傾斜のあるブッシュ泥壁が。巻けば簡単そうだがロープでつながれている。つまり難しいとこに突っ込めという事だ。ずるずる滑りながら壁を登り、左手に見える壁に突き当たったところで壁沿いに進みいい感じの立木でピッチを切る。屈曲が凄いのでプーリーカラビナが役に立つ。このころから雨がポツポツと降り始めた。
3ピッチ目:がんちゃん、50m、Ⅲ+
2ピッチ目の終了点から右に少し進むとオーバーハング滝。
ここから3ピッチ目開始。少し悪いもろ目のバンドを左上していく。カム#1~2あたりがあればいい具合にプロテクションを取れそうだが無いのでナッツとスモールカムをいくつか使う。
ここで足元に浅打ち軟鉄ハーケン2本発見。回収。どうやらMJさんが残置されたもののようで無事に持ち主の元へと返っていった。
その後はスラブ壁沿いに進む。最後はトラバースして袋小路岩屋近くの適当な灌木でピッチを切る。
フォローのダイソンは1時間ほどかけブツブツ言いながら登ってきた。高所恐怖症のダイソンにとっては高度感がかなり辛かったようだ。トラバースで泣かないようにそれなりにランナーは取っておいたが助けになっただろうか・・・。
ここでもまたプーリー付きカラビナが役に立つのである。というか1ピッチ目以外は全ピッチで使った。
4ピッチ目:がんちゃん、60m、Ⅲ+
ダイソン曰く60mロープなら巖双門まで1ピッチで抜けられるかも。とのことなので限界まで伸ばす作戦で。ピッチ切るの面倒だし。
出だしの左へトラバースが足場が切れ落ちてて悪かった。木を駆使して足をびよーんと開いて左へGO。そこからは比較的簡単なはずだが、滝の横断でダイソンの事を思い出来るだけ細かくランナーを取れそうな・・・と思い壁沿いにいったら意外と悪かった。
これもうランナー取らずに横断した方がよかった説ある。
それはさておき、左の大きなルンゼに突っ込みブッシュをかき分け進むと、巖双門下の巨岩へ。もうそのあたりからロープが重い重い。ここで50mほど。
まぁ落ちないだろうという事で限界60mまでロープを先に繰り出して登ることに。
巨岩を左から登り、いい感じに外向きになってよいしょと登れば無事に巖双門へ抜けて雄たけびをあげ終了。
フォローのダイソンはもちろんブツブツいいながらアッセンダーで登ってきました。ロープの引きがクソ重いから助かる。カム回収ミスって残置しちゃったらしいけど・・・。
初めて見た巖双門に感動。思ってた以上にスケールが大きかった。右のクラックはどう見ても難しそうだ。オオヤマレンゲ?オフシーズンだよ。バイケイソウ(コバイケイソウ?)も蕾になっていました。こ奴らを見ると大峰って感じがしていいですね。
デプローチ
巖のアーチをくぐり、双門ルートへ復帰。下山開始とともに雨が本降りに。後は迷いトレースなどにも導かれたくさんミスりながら雨の中下山しましたとさ。謎の偽テープ?や迷いトレースが多く結構迷いやすいので要注意です。
完走した感想
やはり弥山川界隈はあーだこーだ解説してくれるからダイソンと行くと面白い。彼の情熱にほどほどに耳を傾けると退屈しないのだ。
今回のルートは休憩しながらでもおおよそ9時間前後で帰ってこられると思います(アプローチ、デプローチで迷わなければ)。
登攀グレード的にも普段沢登りをしている方なら特段難しい箇所もないですし、やりようによってはロープピッチも減らせそうな感じでした。より快適に登るのであれば最終ピッチは2ピッチに区切った方がいいでしょう。
次は冬の様子も見に行きたいなぁと思いました。裏双門滝はどんなふうに成長するんだろうか。登れるのかな。登ってみたいな。あ、弥山川ゴルジュも行かなきゃ!
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