厳冬期の乗鞍に登ったら雪が深くて敗退した:身近な3000m峰

2020/06/10

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厳冬期の乗鞍岳に登ったら雪が深くて返り討ちにあいました。

2019年1月3日の山行記録です。

敗退した山行の記事なんて書きたくねーな・・・と思いながら書いています、アラサーがんちゃんです。厳冬期の乗鞍岳に登ったら雪が深くて返り討ちにあい、登頂できませんでした。そんな敗退記録が誰かの山行の参考になればと思いここに記します。

乗鞍岳ってどんなところ?

最も身近に登れる3,000mの山

このブログを見てる人はほとんどが自転車乗りか、山登りをやっている方だと思います。乗鞍岳については登ったことが無くても聞いたことがある人が大半だと思うので3分クッキングなみに簡単にご紹介します。3分もかからんけど。

乗鞍岳は山頂(剣が峰)が3,026mの北アルプスの山です。車道が通っている乗鞍岳の畳平バスターミナルは標高2,702mにあり、実は富士山の5合目より高い場所にあります。畳平から山頂までは片道1時間半ほどで行けてしまう超絶お手軽3,000m峰なのです!

冬が胸にきた。

積雪期以外の乗鞍は何度か登頂したことがありますが、雪の乗鞍は登頂した試しがありませんでした。厳冬期ではないですが、2015年の5月に残雪期の乗鞍にスノボを背負って登ったのですが、ホワイトアウトで無残にも敗退しました。ファッキンホワイトアウト。


そんな冬の乗鞍、胸にきちゃったんでしょうね、冬が。冬と言えば雪ですから。雪。登りたくなっちゃったんですよ、厳冬期の乗鞍岳に。というわけで正月休みを利用して登ってきました。今回のメンバーですか?嫁です。それでは早速山行記録をご紹介します。

深い雪に苦しんだ

計画はこうです。

車で乗鞍高原第7(休暇村前)駐車場まで、そこから少し歩いてリフトに乗ります。リフトは2基乗り継ぎ、800円です。下りは使用できません。また、リフトの開始時間は8時半ごろからなので注意が必要です。もちろんリフトを使わずに登ることも可能です。

次に、かもしかリフト最上部(ツアーコース開始点)からツアーコースを歩きます。ツアーコース終点から肩の小屋を目指し、そこから乗鞍岳山頂を目指します。予定タイムは以下の通りです。

8時:駐車場
9時:リフト最上部
10時半:ツアーコース終点
12時すぎ:乗鞍山頂

しかし実際にはこうでした

10時45分:リフト最上部
12時31分:ツアーコース終点

あれれー?おかしいですね。序盤からかなり遅れていることがわかります。そうです、スタート(駐車場)の時点ですでに遅れていました。詳細な時間は覚えていませんが、恐らく9時半ごろでしょう。なんと最初から1時間以上遅れているのです。二度寝大好き。

そして、深い雪が足をひっぱりました。実は年末年始の寒波で積雪量が増えていましたが、積雪量をあまり把握しておらず、ワカンやスノーシュー(休暇村でレンタル可能です)を用意していませんでした。

三本滝レストハウスあたりから、靴が埋まるぐらいの雪の深さとなり、進むにつれ膝下まで埋まっていくような雪になりました。次第にペースが遅くなっていきます。

三本滝レストハウス手前、約1,800m地点。

三本滝レストハウス。この先林道を進むが、スキーコース横の方がよかったかも。


ただ、ツアーコース終点まではそれなりにトレースがあったため、ツボ足でもそれほど体力が奪われることはありませんでした。しかし、ツアーコース終点から一気に雪が深くなりトレースがなく、腰下ぐらいのラッセルとなったのです。

1,900mあたりから三本滝レストハウスを望む。
吹雪いてはいないが(樹林帯だし)、降雪あり。
そして嫁の体調もあまりよくありませんでした。進むにつれてちょっと熱っぽい様子でした。そんなこともありこれは厳しそうだなと判断して、ツアーコース終点(看板があるところ)を少し進んだ標高2,420m地点あたりで引き返すことにしました。こうして我々は厳冬期の乗鞍岳を敗退したのです。

ぜんぶ雪のせいだ。

雪の乗鞍を2連敗しました。なんてことでしょう。まぁ仕方ないんですけど。次はあるのか?あるならば今までと同じように登っていてもダメでしょう。ということで、今回なぜ登頂できなかったのかを(ゆるく)考察してみましょう。(全部雪のせいじゃない気がする)

山で敗退する原因は大体これ

みなさん、目的としていた山に登頂できなかったことはありますか。あったとしたら原因は何でしょうか。大抵は以下の理由かと思います。

  • 天候が悪かった
  • 装備が不足していた
  • 時間がなかった
  • 体調が悪かった

大体これでしょう。急に熊がでて逃げたとか、突然仕事が入ったとか、急に山が嫌いになったとかいう理由で敗退するのはまれだと思います。そもそも敗退って何でしょう。何に負けてしまったのか・・・?撤退?

じゃあどうすればいいんだ

対策なんてのは言うのは簡単です。簡単。呼吸を1秒止めるぐらい簡単です。呼吸を止めて1秒真剣な目をしてください。呼吸止めたら言えないんですけどね。後はその対策を実行できるかどうか。ただそれだけです。それでは対策を見てみましょう。

  • 天候を操る
  • お金に物を言わせて装備を揃える
  • 有給休暇を取得して時間に余裕を持つ
  • 薬をキメて万全の体調で挑む

ほら、どれもこれも簡単でしょう。私は全部できませんが。

天候は操れないけど、予測はできる

まず天気ですが、これは手を合わせて目をつぶって祈れば大体なんとかなります(心の中で”今から晴れるよ!!”とか祈る感じで)。この技を使えない方はあらかじめ天気予報や天気図を見ながら、いい感じの天気の日に挑むようにしましょう。

山の天気チェックの定番はてんきとくらすですが、より詳細に天候を予測するには天気図を見る必要があります。しかし、天気図の見方が分からない・・・という方は多いでしょう。そんなあなたにオススメのサイトがあります。Moutain Forecast(マウンテンフォーキャスト)です。

乗鞍岳だとこんな感じ。文字検索以外にも地図から探すこともできます。
英語サイトなので慣れるまでは少し見にくいですが、各標高での雨量や降雪量、雲の多さ、風速などが詳細にわかります。一つ難点と言えば収録されているのはメジャーな山がほとんどで、マイナーな山は収録されていません。それでは簡単に見方をご紹介します。

調べたい山をチョイスした後、下にスクロールすると各情報を見ることができます。風速は時速表記になっています。皆さんがなじみのある秒速との対比は以下のようになっています。時速だと車の速度をイメージできるので意外と分かりやすいですね。

 時速10km:秒速2.8m
 時速20km:秒速5.6m
 時速30km:秒速8.3m
 時速40km:秒速11.1m
 時速50km:秒速13.9m
 時速60km:秒速16.7m


乗鞍岳3,206mの天気予報。情報がギュッとつまっています。
例えばsome cloudsは曇りです。悪天ではないけど晴天でもないといった感じです。rain shwrsは雨が予想されます。わずかな雨の場合でも表示されます。Freezing levelは氷が張る標高を表しています。上に乗せた天気の場合、4,000mオーバーで氷が張る気温になるということです。各種情報を参考に、アタックするかどうかや装備を決めるといいでしょう。

さらに、日付の横の矢印を押せば細かい時間間隔で情報を表示できます。結構アテになるので、てんきとくらすと合わせて活用するといいでしょう。

3時間毎の詳細も見ることができる。

装備を万全に

今回の敗退原因のメインではないですが、言わずもがな大切な要素が装備です。特に雪山では各種ウェア、アイゼンやピッケル、スノーシューなどの装備が重要になってきます。それほど重要ではないですが、ザック選びも大切になってきます。今回でいうとYAMAPやヤマレコ、各種SNSで直近の積雪情報などを集め、Moutain Forecastで予測することで、スノーシューやワカンを用意するという選択をしていたかもしれませんね。

時間に余裕をもって

こんなこと書く必要があるのでしょうか。といったところですが、登山においてはとても大切なファクターです。まず時間ですが、時間に余裕をもった計画を立てること、そしてその計画を(少なくとも開始時間を)遂行することが大切です。

私は割とルーズなので(ご存じかもしれませんが)、二度寝したりスタート時間が遅れたりをよくしてしまいます(特に親しい相手と・・・)。その結果、嫁が鬼嫁へと進化することも多々あります。私の一番の改善点かもしれません・・・。

尚、遅れた時間は体力とスピードで取り返しがちですが、これもあまりよくないと思います。体に余裕があればいいのですが、無理をしてはいけません。急いでいるとミスを起こしやすく、ちょっとしたミスが命に関わる重大なミスへと発展してしまうのです。

体調は万全に

最後に体調の話です。当然のことですが自分の体調はちゃんと管理しましょう。ちょっと熱っぽいとか、だるいなぁといった時は無理せず延期する方がよいでしょう。

また、同行者の体調を気に掛けるのも重要です。いつもよりペースが遅いなとか、しんどそうだなとか、気にかけましょう。気を使って体調が悪いことを隠していることもあります。そして、その体調不良に気づいたら撤退するのかどうか、的確で素早い判断が必要になります。山は逃げないのでまたの機会にしましょう(機会は逃げると思っている派ですが)。

なんだかあまり綺麗にまとまっていない気がしますが、天候と装備と時間と体調を気にかけて登山を楽しみましょう。ということで締めくくりたいと思います。

緩やかな斜面はヒップソリを楽しめます。


答えは雪に聞け。

そんなこんなで厳冬期乗鞍岳、見事に敗退したわけですが、このまま諦めていいのでしょうか。ダメですよね。どうしましょう。また登っちゃいますか?果たして登れるのでしょうか?その答えはいつかまた・・・。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも面白いと思ったり、タメになったと感じたら下記バナーをポチっと押してもらえると、記事作成の励みになります!
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