アラサー夫婦が槍ヶ岳・穂高岳を縦走@2日目

2020/08/22

2020年 3000m峰 テント泊山行 縦走 登山 北アルプス 無雪期

t f B! P L

続・国内3000m峰の北アルプス編を完結させてきた話。

今回は国内3000m峰のうち、北アルプスに位置する山を全踏破すべく槍ヶ岳から前穂高岳までを縦走してきたお話の続きです。1日目の記事をまだ読んでいない方は先にこちらをどうぞ。


ガスの槍ヶ岳と大キレットに突っ込め。

この日は出だしからガスガスなのだ。分かっていた、分かっていたんだ。それでも僕たちはほんのわずかな希望を抱きながら槍ヶ岳を目指し、さらに大キレットを進むのであった。はたして、青空が迎えてくれることはあるのだろうか。ねえ!いまから晴れてよ!!という嘆きは天に届くのだろうか。

2日目:槍ヶ岳から大キレットに突っ込んで穂高岳山荘へ。

ルートとコースタイム

日にち:2020年8月13日(木)(2日目)
時間:10時間42分(10時間15分予定)
距離:14.28km、945mD+


S槍ヶ岳山荘06:4606:52槍ヶ岳07:2307:28槍ヶ岳山荘08:0708:13飛騨乗越08:1608:30大喰岳08:3608:58中岳09:0909:48天狗原分岐09:4910:07南岳10:0910:12南岳小屋10:3711:58長谷川ピーク12:3413:51北穂高小屋14:0914:10北穂高岳北峰14:1514:15北穂高小屋14:1914:19北穂高岳北峰14:2414:24北穂高小屋14:24北穂高岳北峰14:3316:46涸沢岳17:1717:28穂高岳山荘G

槍ヶ岳登頂せよ

本来なら混雑を避けるためと、山頂でご来光を見るために4時半に出発し登る予定だったが起きたらあいにくの天気。わかっていたさ。誰か晴れ女連れてきて、合掌させてくれ。そんなこと言っても仕方ないな。朝ごはんのカレーメシを腹に入れ、アタックザックを用意する。


何も見えないガスの中を登っていく。岩登りと言っても槍ヶ岳のそれはよく整備されているし、必要に応じて梯子がかかっている。同じタイミングで少し前に2人組がいたので要所要所で順番待ちが発生しているが落ち着いて進めるのでいいだろう。

槍ヶ岳への岩場登り。特に難所は無いが慎重に。
梯子や鎖場もあり、人が多い時は数時間待ちの渋滞となることも。。

そんな感じで難なく槍ヶ岳の山頂へと到着した。山頂はガスっていて何も見えないので写真を撮ってそそくさと退散する。今日はまだまだ長いのだから。ちなみに3180mなので3000m峰スタンプラリーポチっとな。4/21座目。

山頂手前の最後の梯子。

槍ヶ岳山頂にて。

下り。

テント場に戻りさっさとテントを撤収する。今日も10時間の行程だ。それほどゆっくりしている場合ではない。これから大キレットに突っ込むというのに天気が良くなる気配がないので先が思いやられる。個人的に難所だとは思っていないが、雨風があると話は別だ。濡れた岩場は一気に難易度があがる。そして荷物も食料分軽量化されているとはいえ10㎏後半はある。前日から嫁の足の調子もよくないので少し多めに荷物を持つことにした。本人は不満そうだが。

数々の3000m峰を踏み倒す

今日はここから3000m峰が連続する。大キレットまでの間だけでも大喰岳(おおばみだけ)3101m、中岳3084m、南岳3033mの3座がある。それでは早速行ってみよう。

槍ヶ岳山荘からしばらく歩くと飛騨乗越が出迎える。ところで皆さんは日本一標高が高い峠をご存じだろうか。車道だと大弛峠2360m、車道がない峠だと三伏峠(南アルプス)2580mとなる。しかし、峠の定義に乗越まで入れると実はこの飛騨乗越3020mが最高所となる。そういうわけで峠マニアは是非行ってみていただきたい。

飛騨乗越
飛騨乗越

さて、飛騨乗越を名前の通り南に越えると、大喰岳が現れる。大喰岳は二重山稜(稜線が二つ平行している)となっており、うっかり山頂を見逃してしまうこともあるので注意していただきたい。山名の由来は、多くの動物が草木を食べている場所があったからとのこと。名前が独特なので結構好きだがこの山を目的に登る人はほとんどいないだろう。

大喰岳
大喰岳

大喰岳から20分ほどいくと中岳だ。名前の面白さがない。中岳から天狗原の分岐までは比較的平坦で歩きやすい縦走路となっているので一息つきましょう。


中岳
中岳山頂

天狗原分岐から南岳までは20分ほど、南岳も名前の面白さがない。3000m越えではあるが、北岳みたいな感じでもない。ひとまずこれで3000m峰スタンプラリーは7/21座完了となった。さぁどんどんいくぞ。

南岳
南岳にて

南岳をチェックしたら南岳小屋へと向かう。そこそこ雨に打たれていたこともあって少し休憩した(というかバッジを買うのが目的だが)。小屋は雨風を凌げるのでとてもありがたい。このままここで眠りたい気分だったが、今日の寝床はまだまだ先だ。距離的にはまだ半分ほどだし、コースタイム的にはまだ3分の1ほどなのである。



南岳小屋
南岳小屋

核心部大キレットへ

ここから我々は今日の核心、いやこの3日間の縦走の核心部ともいえるであろう大キレットへと足を踏み入れる。核心って言いたいだけ感はある。大キレットは長野県と岐阜県境の南岳と北穂高岳間にあるV字に切れ込んだ岩稜帯のことである。私のギャグのキレはイマイチだ。


大キレットは高度感のある切れたった岩場の連続

ちなみに3大キレットといえば八峰キレット(後立山連峰の五竜岳と鹿島槍ヶ岳の間)、不帰かえらずキレット(白馬鑓ヶ岳はくばやりがたけから唐松岳)、そして大キレットだ。どれも北アルプスである。この大キレットを含む縦走ルートは痩せた高度感(というか実際に高い)のある岩稜帯が続き、長谷川ピーク(2841メートル)や飛騨泣きといった難所が待ち構えている国内でも最高難易度の一般ルートであるが、足場や鎖場が設置され整備されているため、危険度はそれほどない。といっても毎年事故が多発しているのも事実だ。有効なエスケープルートも存在しない(A沢はそもそも難易度が上がるバリエーションなので)。補足だが、キレットは漢字で「切戸」と書き外国語ではない。



大キレットを南進するとまず初めに梯子や鎖場が連続している。晴れていればなんてことないが、雨で濡れているとなかなか危険である。十分に注意したい。

鎖や梯子を使い慎重に通過する。


岩場を進んでいくと最低のコルの先に長谷川ピークへとたどり着いた。過去にここに来た時の記憶はイマイチないが、今回はよく目に焼き付けておいた。Hピークとぺイントされている最上部に乗ると中々に切れ落ちているではないか。ここは落ちたらヤバイなと思った。この大キレットで私が一番怖いなと思うのはここだな。ツルツルで狭いし。ちなみに、長谷川ピークの名の由来は昭和前半、このピークで長谷川さんが落ちたが奇跡的に助かり北穂高小屋の人がその名前を使っていたことからついたそうだ。他にも有名な登山家由来の説もあるが真実はガスの中である。

最低コル
最低コル
Hピーク
Hピーク

Hピーク上から見るとこんな風に両サイドが切れ立っている

ステップが設置されている箇所

長谷川ピークを越えたあたりで若い男子学生とお父さんの親子連れとすれ違った。長谷川ピークや登りはあとどれぐらいか聞かれたが大丈夫だろうか。今日は岩のコンディションが最悪だからな。長谷川ピークの次はA沢のコルだ。ちなみにこの縦走路の西側にはA沢以外にもBからF沢までがある。

A沢のコル
A沢のコル、ここからのエスケープは厳しい


A沢のコルを越えると、大キレットの中でも一番難易度が高いであろう飛騨泣きだ。これぞまさに核心部といえるだろうが、鎖や足場が設けられているので落ち着いて通過しよう。5mほどの岩場を乗り越え、信州側をトラバース、そして飛騨側のルンゼへと入る。この辺りは少し足場が悪く浮石もあるので注意したい。ルンゼを越えると核心部は終わりとなる。ちなみに飛騨側に落ちると助からないと言われている。そう、これが飛騨泣きの名前の由来だ。

落ちたら終わる岩場ばかり

どちら側に落ちても終わる。左側の鎖を使い、少ない足場を頼りに進んでいく。


しばらく進むと北穂高小屋が見えてくる。小屋から北穂高岳3106mはすぐそこだ。山頂を踏んで8/21座完了。北穂高岳は北峰と南峰があるが、一般的に北穂高岳といえば北峰を指し、こちらに三角点がある。

北穂高岳手前の登り


少し晴れ間が見えてきた

北穂高岳山頂

涸沢岳から穂高岳山荘

北穂高岳から次は本日最後の3000m峰、涸沢岳3103mを目指す。約2時間ほどのコースだ。ここで天の声が聞こえてきた気がする。今から・・・晴れるよ!!


やっとだ、やっと晴れ間が見えてきた。最高である。晴れているので途中でドローンを飛ばしたりしたがイマイチな画しか撮れなかった。涸沢のコルや涸沢槍を越えるとついに涸沢岳が見えてきた。ここまでくれば宿泊地である穂高岳山荘もすぐそこだ。涸沢岳に登頂して一息つく。9/21座完了。ああ、もうここからは下るだけだと胸をなでおろすが、最後まで慎重に。気を抜いた下りは危険なのだ(フラグ)。

まもなく涸沢岳

コースマーキングみたいな雲が浮かんでいた
涸沢岳山頂で自撮りするヨッメ

尖った常念岳や前穂高岳、奥穂高岳が美しい。槍ヶ岳は見えなかった。穂高岳山荘には17時半前に着いた。少し日が沈み始めており、最高の景色だ。ちなみに穂高岳山荘のテント場は今シーズンは要予約(電話)なので注意したい。また、チェックイン時には検温が必要なので、自前の体温計を持って行くのが望ましい。

一番高いのが前穂高岳、左側にバリエーションルートの北尾根。下には涸沢。

北穂高岳

穂高岳山荘
無事穂高岳山荘へとたどり着いた

夕焼けと流星と時々喧騒

穂高岳山荘のテント場は場所指定がない。到着が遅かったのでいい感じのところは埋まっていたが、ヘリポート横のスペースが空いていた。ちょっとトイレから遠いなと思ったが、広々としているのでそこに設営した。この場所が実は結構よくて、夕日に染まるジャンダルムや奥穂高岳をテントの中から見ることができた。

イワヒバリ
イワヒバリ

夕日に照らされる奥穂高(左)とジャンダルム(右)をテントから。

ヘリポートからは展望がいいこともあり、ちょうど流星群シーズンだったので遅くまで人がいたが、マナーを知らない人もいて夜9時を過ぎてもかなり大声で喋っていた。というか流れ星が流れる度に何度も叫んだりしていた。写真に収められて嬉しいのはわかるが、流石に他の客にも迷惑だったので注意しておいた。厳密なルールはないが山屋の就寝は早い(出発が早いので)。下界では考えられないが夜7時とか8時ぐらいになったら気を使ってなるべく小さい声で話すようにしてもらいたい。叫ぶなんてもってのほかだ。

奥穂高岳をバックに星を。運良く流星が写りこんだ。スマホでもこれぐらいは撮れる時代に。

ちなみにこの日の晩御飯は早ゆでマカロニにカルボナーラとラーメンにした。ちなみに棒ラーメンは好きではない。明日はいよいよ最終日、天気もよさそうだ。行程的にも下りがメインなので一番楽なはずだが最後まで気を抜かずに安全に下山したい(フラグ)。

早ゆでマカロニカルボナーラ

ラーメン

イケメン三銃士




全部俺やん。

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