関西最難関・弥山双門の滝コースは濡れた歩道である

2020/12/09

2020年 山行記録 大峰山系 登山 日帰り山行 無雪期

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濡れて難易度MAX、双門の滝コースという名の歩道に行ってきた

大峰山系の難所:双門の滝

弥山川・双門の滝コースといえば、関西の一般登山道の中では最難関のコースとして知られており、奈良県の大峰山脈に位置する弥山に繋がるコースである。弥山川は川迫(こうせ)川最大の支流であり、道中には日本の滝100選のうち、最もアクセスが難しいとも言われている双門ノ大滝がある。


双門コースの全容、熊渡の橋を渡ったすぐのところにある


なぜ難易度が高いのか

奈良県天川村の熊渡からアクセスするわけだが、一度コースに入ると鎖や岩場、長い垂直移動のハシゴ、そして渡渉や急斜面の直登が連続するなど引き返すことが難しいコースとなっている。そのため、本コースは下山での使用が禁止されており、また雨の直後などは弥山川の増水によって渡渉が困難となる関西屈指の難コースである。


事故の無きよう


このコースではそもそも入山者数が少ないことや、ちょっとしたミスが大きな怪我、行動不能に繋がりやすいことから、必ずといっていいほど毎年遭難者が出ているようだ。また、携帯電話の電波が入らないことや、エスケープルートがないこと、そもそもの距離(熊渡からエスケープ可能な狼平まで10㎞ほどある)が長く、行動時間が長いことも遭難要因の一つだろう。実際2020年も私が知る限り、2件以上の遭難/救助案件が発生しているようだ。


今回は行かなかったが、巖の双門はこのレリーフ横からアクセスする


といっても一般コースではある

そんな双門の滝コース、難コースとは言っても、(一応)一般登山道なのでコーステープがそれなりにあり、危険箇所には鎖や梯子がかけられているため、普段バリエーションをやっている人にとってはそれほど難しくないだろう。とはいっても、コース自体は引き返すのが難しく(ロープを用意し懸垂などすれば可能ではあるが)、渡渉もそれなりに多いため、普段整備された登山道しか歩いていない人にとっては、やはり難易度は高く感じられるだろう。


木の梯子はめちゃくちゃ滑るので怖い

これらを踏まえたうえで、入山される方は当日の天気だけでなく、前日までの天気などにも気を使って挑戦するといいだろう。また、人の入りが少ない、電波が入らないことから、単独よりも複数人で入った方がよりよいと感じた。実際に私が行った日は、双門コースどころか、狼平避難小屋からの下りでも、人っ子一人とも会うことはなかった。


川の流れによってこの様に落ち葉が積み重なるのだろうか

山行概要

日程:2020年11月29日
距離:16.8㎞、1271mD+
山行時間:10時間42分
消費カロリー:3046kcal
 メンバー:がんちゃん、妻



スタート地点は熊渡である。駐車スペースは頑張っても6台分ぐらいだろうか。6時過ぎに到着したがすでに4~5台ほど停めてあった。コースの距離が長く、行動時間も必然的に長くなるため、早朝出発が基本だ。特に日の短い時期は暗いうちからヘッドライトを付けて出発した方がよいだろう。

朽ちた梯子もあちこちにある

今回は弥山や八経ヶ岳まで周る予定でスタートしたが、後述するコース状況とコースミスにより時間的に余裕がなかったため狼平避難小屋までとし、カナビキ尾根経由で下山することにした。ちなみに、熊渡から狼平避難小屋までのコースタイムは、山と高原地図で6時間20分となっている。(なぜか不思議なことに下山方向にもコースタイムが書かれており、4時間となっている、2019年版)


さて装備だが、ヘルメットは念のため被った方がいいだろう。と言っても、今回は身軽にしてスピーディーに行動したかったので、ハーネスやロープは持たなかったが、万が一の時にはあったらかなり助かるだろうなという場所が多かった。というかコースをミスった時のリカバリがかなり難しいと感じた。実際、2度ほどコーステープを見逃したことによりコースミスし、ルート修正(というか戻った)を行ったが、クライムダウンにかなり肝を冷やした。

道中に落ちてたカルピコ

いざ、関西最難関コースへ・・・

まだ易しい熊渡から窯滝

出発時の気温は10度ほど。それほど寒くない。熊渡をスタートし、林道をしばらくたどるとカナビキ尾根への分岐に着く。ここに登山届を出すポストがある。カナビキ尾根は右側。双門の滝コースは左側に進んでいくと広々とした弥山川・白川八丁の河原に下りる。

カナビキ尾根と双門コースへの分岐、ここを左へ下る

白川八丁の河原

白川八丁は長い河原歩きとなっており、河原をしばらく進むと木の階段や鉄はしごが現れる。さらに進むと潜流が尽きるところで谷を右に曲がる、すると釜滝(がまたき)が現れる。

釜滝、ここで滝の水量が多いなら引き返した方がいいだろう

ここが双門の滝コースの最後の引き返し地点と言ってもいいだろう。この釜滝の水量が多い場合は、この先の渡渉ポイントも困難なものとなっているので、ここで判断した方がいいだろう。ここから先は釜滝を右岸に巻き進んでいく。




この辺りでブログを書く手が止まる。そう、モチベーションが低下していたのだ。まぁ、何が言いたいかっていうと、雨が降ったのはこの日の二日前、前日は降ってないだろう。大丈夫だ。と思って行ったが、前日にも雨が降ったのか、はたまた霜が解けたのか。


大岩を潜る箇所も

この橋は本来奥側から来るわけだが、逆から来てしまったがためにコースミスをした

なんと、なんとなんと、なーん-とーー全面濡れているのである。濡れた岩。濡れた梯子。ふざけているのか。ただでさえ大変な長いコースなのに。これでは慎重+慎重でめちゃくちゃ時間がかかってしまう。そう、前述した理由とはこれである。めちゃくちゃ慎重に進まらざるを得なかったため、ペースが上げられなかったのだ。

双門一の滝、30mほどである

倒木になぎ倒された梯子はもう使えない、左に迂回する

歩道・・・?

このコースに梯子が多いとかどうとか、そういうのは他の様々なブログで紹介されているのでわざわざ私が紹介することでもないだろう。まぁ、実際に梯子は崩れているものや、木が覆いかぶさっていて迂回しないといけないもの、掛けなおされたもの、空中梯子、空中回廊、ツルツル滑るもの、そして長いものなど多数あった。あったんだ。だがな、私が一番気になったのはこれだ。

双門弥山歩道と書かれた道標。歩道・・・??

確かにこんなコースの奥地に、30も近い梯子が掛けられているなぁ、ある意味よく整備されているなぁ、歩道なのか・・・と思ったが、こここは本当に歩道・・・なのか?歩道の定義とはいったいなんなのか。その謎を探るべく我々は弥山川の奥地へ足を踏み入れた...。

双門の滝は遠望・・・

気を取り直し、本コースのメインディッシュである双門の滝(双門ノ大滝)について簡単に書きたいと思う。この滝、このコース上からは遠望することしかできない(滝直下に行くにはそれ相応の装備が必要だ)。落差は全体で70mほどとかなり大きいが、そもそも遠くからしか見ることができないので迫力は・・・こんな感じである。ただでさえ伝わりにくい写真であるが、なんというか、そうなんだ、こういう滝なんだという気持ちある。


これがメインディッシュ、テラスからの双門の滝遠望である。・・・。

そこで皆さんにはドローンの映像で楽しんでいただきたい!!という気持ちではあったが、とても悲しい諸事情により、私のドローンは遭難してしまった。そう、まさにこの難コースの難コースたる所以を私は身をもって?知ることとなったのだ。新しく発売したDJI mini2欲しいな。あれならオキュシンクだから電波状況もいいはずである。

さて、話が逸れてしまったが、ここまでで結構な熱量を使ったので個人的にはこの記事はもういいかなと思っている。というわけであとは写真をお楽しみいただきたい。ニコニコにもそのうち動画をアップ予定だ。多分知らんけど。双門の滝を越えても狼平避難小屋まではまだ距離がある。渡渉や梯子もタンマリだ。


こういった渡渉が多く、なかなかスリリングである

3mほどの空中梯子は結構怖い

空中回廊は特に怖くはない

双門三の滝。あれ、二の滝はいずこへ

ちなみに河原小屋は跡形もなく、荒れ果てたゴーロ帯が川を覆っていた。というか昔はこんなとこに小屋があったんだなぁ。。。結局のところ狼平避難小屋に着いたのは熊渡から8時間ほどたった15時過ぎであった。日暮れも近いのでそのままカナビキ尾根から下山した。

狼平避難小屋

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。万が一、双門の滝の滝壺でドローンを回収した場合はご連絡いただけると嬉しいです(データだけでも欲しい)。まぁ、あそこの滝壺まで行く希有な人はほとんどいないと思いますが。

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