厳冬期・暴風の赤岳西壁主稜登攀
山行概要
日程:2021年12月30日~2022年1月1日
山行形態:テント泊、冬季登攀
メンバー:がんちゃん、佐藤さん、ヤギさん
GPSログは一部
<1日目:行者小屋テント泊>
どんより曇り空。南沢から行者小屋へアプローチ。ヤギさんは2日目に日帰りで合流するので、佐藤さんと二人で。この日は行者小屋が開いており(営業はしていない)テン場代1人1泊2000円を徴収。夕方には小屋番は赤岳鉱泉の方に戻っていくようだ。
ダンロップVS-30(3人用) |
ところで夕方ごろに着いたであろう人が、小屋入口の屋根の下にテントを張っていた。そこはテン場ではない。みんな雪宿りをしたり風を防いだりして準備とかしたいと思うので、テントで占領するのはどうかと思う。
きっと遅く到着して、整地する余裕もなかったのかもしれないが、それであれば早く着くように行動すればいいだけの話である。余談だが、翌日は翌日で別の人が、テント張れない~凍傷になる~とか言いながら、テントを張っている途中で移動して入口前に張っていたな・・・。
<2日目:赤岳西壁主稜アタック>
6時集合とヤギさんに伝えたが、なかなか現れない。きっとラッセルで苦労しているのだろう。一応1時間までは待ちますと伝えていた。電波が全然入らないのが難点である。
痺れを切らして6時45分ごろに出発しようとしたタイミングでヤギさんが到着。ギリギリセーフでしたね。7時2分行者小屋をスタート。
ヤギさん合流 |
文三郎尾根を上がった途中の主稜取り付きへのトラバース地点へと向かうが、まだ誰も人が入っていないので小屋からずっとラッセル。ヤギさんはここまで一人でラッセルしてきたので後ろでぬくぬくしてもらう。
まずは佐藤さんが先頭でラッセル。頑張れ~と思いながら、疲れが見え始めた程よい所で交代しあとはトラバース地点まで私がひたすらラッセル。
ひたすらラッセル |
私とヤギさんは登ったことがあるがずっと視界は悪く、尾根から取り付きはほぼ視認できないのでGPSで確認しながらトラバース地点を探る。
がんばれ佐藤さん |
私 |
取り付きを若干視認できた。予定通りのポイントからトラバースして取り付きに向かう。雪の量はそこそこある。ロープは出さずに一気に横断。8時50分頃、取り付きに到着し準備を進める。
あーだこーだ言いながら |
かすかに取り付きを視認 |
下から吹き上げる風が強い。準備を進めていると、腕に落下防止のゴムを付けてたにもかかわらず私の右グローブが飛ばされる。
なんとか視認できる場所に落ちたのでロワーダウンしてもらい回収に向かうが、向かってるうちにまた風に飛ばされたのか消えてなくなった。買って2回ぐらいしか使ってないブラックダイヤモンドのエンフォーサー、今までありがとう。予備グローブを取り出す。(ちなみにコーラも落とした)
準備を進めていると後ろから3人PTが。しかし私たちはまだ準備が整っていない。最後まで登りますか?と聞かれたので、はいと答えた。しばらくして、後続PTは時間的に厳しいと判断したのか登らずに戻って行った。
1ピッチ目:佐藤さんリード
私とヤギさんは登ったことがあるので、楽しいところは佐藤さんに。1ピッチ目のチョックストーン、下部の隙間はある程度雪で埋まっているが、それでもまだまだ高さはないので乗りあがるところの手をどうするかが核心か。
と言ってもさすがにタッパがあるので、多少苦労しつつもしっかりと越えていった。そこから凹角を登って右上するが、なかなかコールが聞こえない。結局30分ぐらい経ってコールがあった。
ヤギさんセカンドでチムニーを上がりきったあたりで、スピードを考慮し私が同時登攀。今回は新しく買ったアイスバイル(カシンカンプのXドリームアルパイン)を持ってきたが、腕の力を使ってすいすい登れるじゃないか。。。頼り過ぎは良くないが。登っている時は風はそこまで強くなかった。
1ピッチ目終了点 |
ここで佐藤さんが補給の練乳チューブを落とす、運よく途中で止まったので私がロワーダウンしてもらい回収。どこかでヤギさんも補給のパンを落としていたな。。。今回のPTはみな何かを落としているが非常によろしくない。
2ピッチ目:がんちゃんリード
終了点直ぐ左にピンがありそこからも登れるが決して簡単ではなさそう。少し迷ったがスピーディーに抜けることを考慮して、さらに左のカンテから周りこみ階段状を上がることに。
終了点直ぐ左にピンがありそこからも登れるが決して簡単ではなさそう。少し迷ったがスピーディーに抜けることを考慮して、さらに左のカンテから周りこみ階段状を上がることに。
上がったはいいものの全くランナーを取れない。このピッチはランナウトしまくりでロープを30mぐらいは伸ばして取ったランナーは1つ。ランナー直後の凹角が核心で中々に刺激的であった。上がりきって少し進んで適当なピナクルでビレイ。
3ピッチ目以降
ここでビレイ解除ししばらくはフリーで進む。相変わらずの佐藤さんスタイルでそこそこ悪い所もフリーで進んで行く。こちとら身長があれなので、佐藤さんが平然と行けるところも苦労したりする。
結構悪い場所にも行くもんだから、1カ所だけ流石に確実に行けるとは思えなかったので上部でフィックスしてもらいアッセンダーを使って登った。ヒヤヒヤした。
強点を狙ってるのかのように進む佐藤さんと、ポーズをとるヤギさん |
その後もロープは出していたものの、スピードも考慮してフリーで進んでいった。結局ビレイしたのは最初の2ピッチのみであった。また、前回も使っていないのになぜか今回はカムを一式持ってきていた。ただの重りであった。
そんなこんなで無事に山頂小屋に14時39分到着。視界も悪く風も強い。私以外の二人は寒さ的にもギリギリであったようだ。装備を解除ししばし休憩した後、山頂に向かう。私もなんだかんだほほが寒さでやられ、少し黒ずんだ。凍傷というやつだろうか。
赤岳頂上山荘にて |
山頂で写真を撮るのかなと思っていたら二人とも無言で通り過ぎて文三郎尾根を下る。このくだりがある意味核心で、これまでに経験したことのないほどの強風であった。佐藤さんが限界ギリギリだったのではないかと思う。(みんなゴーグルを持っているのにみんなつけていないのはなぜだろう)
二人の状況を伺いながら離れないように歩を進めた。数回、さすがにこれは動けないというほどの風が吹き付けた。文三郎尾根は一般ルートではあるが、このタイミングで一般登山者がいたら間違いなく遭難しているだろうというレベルであった。気温はマイナス20度前後であろうから、風速30m/sだとすると体感温度はマイナス50度近くにもなるだろうか。
そうこうして無事に行者小屋に着くことが出来た。二人とも疲労が見て取れた。私は疲労感は特にはなかったがお腹は空いていた。ヤギさんはここからさらに下山しなければならないのだが(苦笑)。
とにもかくにも荷物を片付け、テントに入り食事とした。時は12月31日、年越しそばの出番であった。GoProは寒さで死に、特に下山区間はほぼ撮れていなかった。
<3日目:阿弥陀岳北稜・・・?>
3日目阿弥陀岳北稜を登る予定であったが、どうせ天気が悪いだろうし(結局風は強そうだったが青空は広がっていた)、疲れたなぁという事で登らずに下山することになった。
下山時も佐藤さんはバタンキューといった感じであった。なお、朝ごはんはお汁粉を作ったが失敗してイマイチであった。
晴天 |
なぜか晴れている |
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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