雪のαルンゼ登攀と流血
福本の積雪期アルパインクライミングデビューということで、近場で程よいところを探したところ、どうやら5月に登った比良中谷のαルンゼが登れそうではないか。ここ数日の記録を見ても、ある程度雪がありそうだ。ということでαルンゼで福本のアルパイントレーニングをすることにした。αルンゼの無雪期の記録はこちら。
山行概要
日程:2022年1月4日
山行形態:冬季登攀
開始:8時18分
終了:17時55分
山行時間:9時間37分
メンバー:がんちゃん、福本
<アプローチ>
駐車場は荒れた林道。若干雪があるがスタッドレスのヤリスクロスちゃん(FF)で進む。予定していた駐車ポイントの手前でシャバシャバ雪に足を取られ2度ほどスタック。持っていたスコップでなんとかやり過ごしたが30分ほど時間を取られただろうか。予定ポイントまではまだ坂道もあるので、少し手前のスペースに駐車することに。
林道を進む |
スタート時点は若干雨がぱらついていたが何とかなるだろうということで気にせずスタート。ルンゼの取り付きまでは約1時間ほどだが、多少のラッセルを強いられる。といっても靴上ぐらいなので問題はない。堰堤の金網を超えたあたりから少し雪が深い。ついでに堰堤の雪庇を踏み外し滑落した。もちろん上流側なので大事には至らなかったが、堰堤にも雪庇ができるということを認識した。ちなみに落ちた際にスマホも落ちて捜索が行われ無事に見つかった。
<αルンゼ登攀>
<F2登攀>
ルンゼの取り付きで装備を準備。F1は容易なのでフリーで登るがアイゼンなので慎重に。F2を私がリードする。涸滝といいつつさすがにこの時期だからか多少の水が流れている。クソ冷たいがまだグローブを付けるタイミングじゃない!!とか言いながら素手で登る。冷たい。雨は止んでいたが、時折雪が降った。
αルンゼ取り付き、F1 |
一応残置ハーケンがいくつかあるのでランナーを取りながら登る。やはり核心は最後の乗越だろうか。ビレイ点はちょっと緩んだペツルが1つあるぐらいで不安なので、雪面にバイルを刺し支点を分散する。残念なことにスノーバー一式は忘れてきてしまった。
F2をリード |
雪は想定していたより深く、時折膝あたりまでのラッセルが待ち構える。雪質はいいとはいえず若干湿っている。岩の空洞なども多く踏み抜きに注意しながら進んでいく。その後、ほどほどの滝はフリーで抜け、福本がリードできそうなところをはリードしてもらった。ルンゼ内は風が全くなく寒さを感じることは無い。
<F7登攀>
核心は最後のF7滝で、まずは福本に挑戦してもらったが、ちょっと厳しそうだったのでリード交代。F7は本来18mほどあるが、雪が積もっているので10mほどになっていただろうか?
F7に福本が挑戦 |
ここはろくにランナーを取れ無さそうでなかなかの緊張感だった。カムは持ってきていたが使えそうにない。そんなこんなで登っていると、岩にかけた左のアイスバイルのテンションが抜け顔面に強打。
痛みが走ると共に血が滴る。リード中だし焦ってもどうにもならない。とりあえず呼吸を整えて登りきることを考える。痛いが、それほど大量出血というわけでもなさそうだ。どこかが切れたのだろう。
そのまま登って際どい所をトラバースして、立木でひとまずビレイ点構築。たしかトラバースしたとこの直下に残置ハーケンがあった気がするが雪で埋まっているのか見当たらなかった。
怪我の状態はそれほどひどくないようで、血も収まってきた。どうやら鼻を切ったようだ。血はほぼ止まったし痛みもそれほどないのでこのまま福本に登ってもらった。途中で若干テンションがかかったので落ちたのだろうか。
運よく、目にもあたらず怪我も小さくて良かった。良かったが、ルンゼはまだ終わらない。ここから登攀区間はないが、雪はさらに深くなる。腰から胸までのラッセルをこなし、残り100mの標高差を3時間かけて進んだ。
迫力のあるツララを横目に |
やっとの思いで(といっても体力的には全然余裕であるが、怪我が気になってしかたなかった)ルンゼを抜け、取り付きから5時間半をかけ尾根に登り詰めた。予定ではクロトノハゲまで登り詰め、バリエーションルートを下る予定だったが、時間がなさそうだ。
ひたすらラッセル |
ということで同αルンゼを下降することにした。これならF2や最後のF7さえ巻いてしまえば、トレース沿いに一気に下降できるわけだ。F7、F2はそれぞれ左岸側を巻いたが、巻きも若干緊張したが比較的容易ではあった。一気に下り取り付きまでは1時間で下降することができた。
ハイペースで下降 |
駐車場に着くころには暗くなっていた。林道の途中でオーバーグローブを落として取りに戻ったり無駄なこともした。ついでにインナーグローブが行方不明になって悲しい思いをした。
総括して程々のグレードで楽しい登攀であった。ラッセルトレにもなったし、雪の登攀もできたし、福本にとってもいい経験になったのではないかと思う。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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