[冬季アルパイン]厳冬期の涸沢岳西尾根~奥穂高岳 2022/2/11-2022/2/13

2022/02/15

2022年 アルパイン テント泊山行 山行記録 積雪期 雪山 登山 北アルプス

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厳冬期の北アルプスに

山行概要

日程:2022年2月11日~2022年2月13日

山行形態:テント泊

メンバー:がんちゃん、かっさん、平野さん、藤本さん


ひょんなことから決まった3連休の山行。メンバーは最近よくご一緒してもらう藤本さん、そして鉄人平野さんとTJなかっさん。当初予定では奥穂高からジャンダルムまで行くと聞いていたが果たして・・・?



<1日目:新穂高~2400m幕営地>

S新穂高温泉バス停07:5007:53中崎山荘 奥飛騨の湯07:5308:20小鍋谷ゲート08:2509:17穂高平小屋09:3510:49白出沢出合10:5116:20宿泊地


夜移動で新穂高で仮眠。6時頃に起きて朝食を食べ準備をする。朝食はもちろん稲荷寿司である。今回の注意ポイントとして前日に多少の降雪があったので雪崩が心配である。1日目、2日目は風は弱く晴天の予報。3日目も下り気味の天気予報ではあるが問題ないだろう。


今回は2日目の夜と3日目の朝が食担となった。テントを担ぐと思っていたが、私の担当ではないようだ。その代わり2人用ツェルト一式が割り当てられた。もっと担ぐと思っていたので、思いのほか荷物は重くない。


7時50分頃スタート。林道歩きがだるいが、トレースはしっかり着いていたのでラッセルは不要そうで安心した。穂高平避難小屋を過ぎ、白出沢(しらだしさわ)が近付いてくる。堰堤をこ越え、白出沢を過ぎるとすぐに涸沢岳西尾根の取付きが現れる。トウヒの大木が目印。


トレースがありがたい

何かの山


穂高平避難小屋前の看板


涸沢岳西尾根の序盤は急騰で、倒木も多く嫌になる。所々フィックスもあり帰りの心配をした。ルートは明瞭でテープもあったりするが一般ルートなのかこれは?と思いながら登った。とりあえず幕営予定地の2400m地点を目指し登っていく。途中でワカンはいらんだろうなと判断しデポすることに。実際、トレースはバッチリなので不要であった。



ピントが仕事した


それほど人はいないのかと思っていたが、3連休であることと好天が見込まれるからだろうか数組のPTがいた。2200mあたりからぼちぼち幕営も見え始める。おそらく2400mまで上がってもスペースがないことが予想されたので、程よい所でスペースを探す。結局16時20分頃に2360mあたりにテントを張った。1日で序盤は林道歩きとはいえ1300mほどアップするのは正直だるい。


しんどい


1日目は3~4人用のテント1つで4人寝て地獄だった。温かいけど。1日目の食担は藤本さん。ミルフィーユ鍋だったが、出汁が効いていておいしかった。2日目の朝食はアレやったけど。


3-4人用テントで4人で寝たら地獄


ミルフィーユ鍋


<2日目:涸沢岳西尾根~奥穂高岳~2400m幕営地>

宿泊地04:3306:18蒲田富士06:2309:01涸沢岳09:0509:17穂高岳山荘09:5410:31奥穂高岳10:36穂高岳10:39奥穂高岳10:4610:46穂高岳11:26穂高岳山荘11:3812:04涸沢岳12:0414:09蒲田富士14:2815:32宿泊地

2時起床。朝食は鍋の汁にアルファ米を突っ込んだ雑炊。うーん、イマイチ!


3時半だか4時ごろに出発すると聞いていたが出発したのは結局4時半。これは予定していたジャンダルムは無理だなという感じ。というか朝からかっさんの調子がイマイチのようだ。とりあえず装備を用意して出発。


出発


しばらくは暗闇を進む

しばらくは急傾斜が続きしんどい。鉄人と聞いていた平野さんのペースが上がらず調子がイマイチっぽいのでロープを受け取る。そこから調子が上がって来たのかいいペースで進む。しかしかっさんは慎重に行ってるのかそんなハイペースではなく、なんだか雲行きが怪しい。尾根に上がったところで自分たちの赤旗を立てておく。下山時に真っすぐ尾根を行ってしまい間違いやすいポイントだ。


慎重に進む


振り返って

両雪庇が出来ている


蒲田富士の前後の稜線は雪庇が多く、かなり緊張した。両雪庇や雪庇越えもあり中々スリリングである。雪庇を踏み抜かないように気を付けるのもだが、そもそも斜度がそれなりにある。そうこう思っていると、かっさんの目の前で大きな音を立てて雪庇が崩落してヒヤリとした。


陽が登り始める


滝谷、まずは夏に登りたい

F沢のコルの先の岩場が結構いやらしかった。2800地点あたりは尾根通しで、前々日に降雪があったこともあり雪崩を警戒しルンゼを通らず進む。ここは下りはルンゼを懸垂しないと厳しいだろうなと思った。


どこかの登り


雪庇越しの槍ヶ岳


涸沢岳の手前あたりでかっさんのペースがさらにダウン、平野さんが付いてくれているのでひとまず抜いて、涸沢岳に。涸沢岳は割とどうでもよかったので適当に写真を撮ってすぐに藤本さんと穂高岳山荘まで下る。二人を待つがなかなか来ない。30分ぐらい待っただろうか。


前穂高岳北尾根


山荘へ下る

やはりかっさんの調子が悪いようで、奥穂高に行く場合は藤本さんと二人で行くことになりそうだ。色々相談した結果、かっさんは平野さんに付いてもらって下山し、藤本さんと二人でアタックすることに。


私が先頭で進む。かっさんが山頂まで2時間はかかると言ってたので(夏道コースタイムで1時間弱なので、結局そんなことはないのだが)、おいおいそんなにかかるのか?と思いながらペースは結構上げて、直登できるところは雪付きをアグレッシブに登っていく。ペンキマーク?知らんがなって感じで弱点を突く感じで急ぐ。山荘すぐの壁を越えればあとは簡単な歩き、雪が締まっていて歩きやすかった。


山頂までもう少し

結局50分ほどで奥穂高岳山頂へと着いた。風はそれほどなく広く晴れ渡っており最高の眺望であった。槍もジャンダルムも見渡すことができた。雪の着いた前穂高北尾根も中々にカッコいい。


山頂から槍ヶ岳を望む

奥穂高岳山頂

ジャンダルムへと続く稜線

時間が微妙なのでそそくさと下山。とりあえず山荘まではロープを出さずに済んだが、中々怖いクライムダウンもあった。山荘に着くと、埋まっていた冬季小屋の入り口が掘り出されていた。別PTはここでビバークするようだ。軽く休憩して先を急ぐ。


とりあえずドンドコ下っていく。もしかしたら平野さんたちに追いつけるかなとか思いながら進むとそれらしい人影が見えてきた。ちょうどルンゼの懸垂しようと思っていたポイントで追いつくことが出来た。ロープはこっちで1本50mを持っていただけだったので良かった。


先を急ぐ


かっさんは調子が戻っていて良かった。どうやら高山病で調子が良くなかったようだ。平野さんが的確に対応してくれたおかげで高度を下げるにつれ調子が戻ってきたようだった。別れた後、穂高岳山荘や涸沢岳あたりでは本当にやばかったようで、県警に連絡するかもしれないぐらいの状態だったようだ。無事でホッとした。


というわけで、岩場のクライムダウンは中々に厳しそうなので、時間短縮も兼ねてピナクルの残置スリングを利用して懸垂でルンゼを下る。とりあえずバックアップも使い3人が降りた後、バックアップを回収して一番軽い私が懸垂。ロープを回収しルンゼを下った後トラバース、尾根に上がって蒲田富士に乗り上げてからロープを片付けた。その後も晴天が続き最高の登山日和であった。


ピナクルで懸垂


F沢のコルと下降したルンゼを振り返る


蒲田富士あたりでしばし休憩


装備としては皆バイル2本。他の人を見るとピッケル1本なども見受けられたが、クライムダウンする必要の可能性も高く、バイル2本の方が安心出来るのではないかと思う。ロープは50mを持っていったが30mでもなんとかなりそうだ。


西穂高岳西尾根、こっちも登ってみたい


幕営地に着いたのは15時半ごろ、行動時間は11時間ほどでそれほど疲労感は無く無事に戻れて安堵した。夕飯は私が担当。野菜たっぷりのコーンスープを作った。早ゆでパスタとかでお腹を膨らませるのがポイント。野菜はミックスベジタブルなどを使ったがKFがグリーンピースを避けて私のところに入れてきた。ビタミン豊富なのに!


中央の中岳、右の大喰岳


無事に帰ってきた


肉はササミとベーコン


流石にまた4人で寝るのは体が死ねるので、2人用ツェルトを空いたスペースに立ててもらい、かっさんと私はそちらで寝た。流石に寒いがクソ狭い中体を痛めるよりかは遥かにマシである。


<3日目:2400m幕営地~新穂高>

宿泊地09:3512:35白出沢出合12:3513:27穂高平小屋13:5814:31小鍋谷ゲート14:3114:43新穂高温泉駅14:4314:47新穂高登山指導センター14:47ゴール地点G

6時起床、天気は下り坂だが下山までは持つだろうか。朝食はラーメンに前日残しておいた冷凍野菜や肉などをぶち込んだ。KFは相変わらずグリーンピースを避けて私のとこに入れてきた。ダラダラ片付けて9時半ごろ下山開始。


あの日清ラ王


ザックを並べて


急騰の下りは本当に萎えた。フィックスロープがありがたい。途中でかっさんが雪庇を探る練習をしてみたりしていた。14時47分頃、新穂高に下山完了。雪がちらつき始めていた。


完走した感想

平野さんとかっさんは残念ながら奥穂高岳まで行けず、4人で登頂することはできなかったが無事に帰ってこれてよかった(二人とも雪の季節に登ったことはあるらしいが)。


総合的に考えると1日目の荷物が重く大変だったこと以外は体力的には問題なかった。ハードな山行ではあったが、一つ一つの要素はこれまでの積み重ねであり、これまでの経験を集約して山と向き合った3日間だと感じた。とはいえ、思い返すといくつか反省すべき点もあった。ルートの概要は大まかに把握していたが、肝心なところは基本的にリーダーのかっさん任せであったし、行動時間や各ポイント感の想定所要時間はそれほど気にしていなかった。結果的にうまくいったわけだが、自分がリーダーでない時も、リーダーをする時と同じぐらいの粒度で調べて挑むべきだなと感じた(調べすぎると面白くないのだが)。


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