[沢登り]明星ヶ岳 舟ノ川 三ツ嵓谷 2条40m、2段60m、2段50m登攀 2022/6/4-5

2022/06/06

2022年 舟ノ川水系 遡行記録 沢登り 沢泊 無雪期

t f B! P L

前書き

今回、個人的にはノーミスで山行を終えられたので、そのうち振り返り出来るようにある程度遡行記録を残しておこうと思う。

遡行対象は参加者5人全員が未経験の舟ノ川 三ツ嵓谷だ。遡行グレードは3級上/Ⅳらしく、メインディッシュは終盤に現れる三ツ嵓谷の60m大滝の登攀である。登られてる記録もそこそこあるので登れるのだろう(まさか簡単な下部とはいえリードするとは思ってもみなかったが)。その後の50mも登るとは思っていなかったが、それこそ巻きと書いてるではないか・・・。

それはさておき実は特徴的な2条40mも登攀したのだが、調べた限りでは左側の中段までは登られている記録はあったが、上部を登った記録は私の調べでは見つける事が出来なかった。という事はこの滝と完登すればもしかして初登なのかもしれない。もし既に登られているよという情報がありましたら教えて頂ければ幸いです。

概要

日にち:2022年6月4日~5日

メンバー:がんちゃん、ワンコさん、キム、野村さん、キノさん

主な装備:ロープ30m1本、50m1本、プロテクション類たくさん


アプローチ

7時過ぎに入渓地点の目の前の駐車場、湯ノ又の明星ヶ岳登山口に着いたが、釣り客だろうか数台の車が停まっていた。それほど広くはないので早めの到着が吉。

遡行詳細

1日目:2条40m滝登攀

三ツ嵓谷の遡行記録自体はいくらでもあるので、今回は2条40m滝をメインに書きたいと思う。ちなみに私は日本登山大系の遡行図を見ていたが、こちらはあまり細かく書かれていない。関西100沢の方が細かかった。

ちなみに序盤のニョウジャ淵に軽く飛び込んで泳いだ際に、大丈夫だな!と思っていたゴルジュハンマー君をドロップしたらしく帰らぬハンマーとなった。最近使い始めたばかりなので悲しい。

と、同時にワンコさんがグチさんに借りパクされているチコハンマーの事を思い出し、それを回収して使えばいいなと思った。尚、翌日にワンコさんのハンマーは・・・。

気を取り直して進む。自身の登攀力アップのために比較的簡単な10m半ば程度の滝をリードさせてもらう。

右側からバンドを伝い左上していき落ち口に抜けた

と言っても水線突破ではな右から上がりバンドを伝って草付きを登る。草付きの登攀は少し慣れてきたが、これはこれで独特の難しさもある。

そうこうしているうちに時飛ばし。予定していた幕営地あたり(遡行図でいう平凡な河原)に着いたが、なんともイマイチだ。良い場所を求め、もう少し行ってみるかとドンドン進むがなかなか見つからない。結局2条40m滝まで来てしまった。滝の前のそれなりのスペースをこの日の幕営地とした。

2条40m、水量はそれほどでもなかった

とりあえず薪集めをしたが、時間的にはまだあるし物足りないという事でワンコさんがこの2条40mを登ってみようと言い始める。

2条40m
右側は立っているワイドクラックと言った感じでとてもじゃないが登れそうにない。一方の左側は中段のテラスぐらいまでなら登れそうであるが、その先が右に曲がっており下からでは状況が見えない。

2条の右側。真っすぐなクラック

ということでまずは中段まで登りその先を見てから考えようという事になった。後で調べたが、この中段まで登っている記録はあるものの、その先は悪さゆえに登られた記録を見つける事は出来なかった。

さて、1ピッチ目はワンコさん。まずは30mロープを伸ばしサクサク登っていく。テラスの脹脛程度の太さの木2本を終了点とし、その先をワンコさんが見定める。とりあえず登ってみる事にしたらしい。フォローでキムが50mロープを担いで合流。

1ピッチ目、テラスから右に上がっていく

2ピッチ目。見た目からして凶悪なスラブ。壁側は狭まっている、スラブ自体は水流がありヌメヌメ。そしてその先は見えないためどうなっているのかすら分からない。30mロープは1ピッチ目にフィックスされたが、ワンコさんがトップアウトするまではどうなるか分からないので下から見守る。

長い時を経てコールがかかり、トップアウト出来たようだ。キムも2ピッチ目を登り、コールがかかる。一安心してまずは1ピッチ目を登る。ここはサクサク登る事が出来た。さて、問題の2ピッチ目がこれである。

2ピッチ目、水流のあるヌメヌメスラブ

出だしからわけがわからない。頼りない細い枝が時折出ているが離陸がまず大変。水流のあるヌメヌメスラブが凶悪だ。今にも折れそうな細い枝で1ピン目が取られていたが、こんなので進んじゃう人の気が知れない。やはりワンコさんは頭のネジが数本、いやすべて飛んでいるのかもしれない。

そうこう思いながらなんとか序盤のスラブをA0というテクニックを使い(失笑)のぼった所で、次はアブミがかかっているじゃないか。そうですよね、激しい水流のスラブ、そうですよね。と思いながらアブミでクリア。

その先は左に折れ曲がっており、3mほどの凹状に。比較的安定しているので一呼吸置く。ここからはそれほど強くないが水流が直撃してくる。冷たい。

そしてこの先が私にとっての核心部であった。水流上部はチョックストーンが詰まっており、その下に1本のアブミが。あーでもないこーでもないとアブミに乗り込み格闘するが、なかなかうまく乗り込む事が出来ず、とにかく水が直撃するので体はドンドン冷やされてゆく。力が入りにくくなる。

小さなCSの下で苦戦

CSの上側をいい具合に持ちたいのだがなかなか掴みどころがなく体力が消耗されていく。右手か左手か色々試してみる。袖の中に水が入り腕も重くなる。

壁に体を押し付け、足を押し付け、ゴボウをグイグイとひっぱりなんとかかんとか突破する事が出来た。ここを越えるのになんと20分も費やしてしまったようだ。人口登攀力が無さ過ぎる(後続は割とサクっと登れたようだし)。

これを越えればもう終わりか・・・と思っていたがそんな事は無かった。次は右に折れ曲がって体が入る程度のチムニー状。5m程だろうか。もちろんヌメりあり水流ありだ。何とか体を押し込み這い上がっていく。

これを抜ければようやく40m滝の落ち口だ。。。雄たけびと共に乾いた笑いがあふれてきた。アハハ。これ、リードで登ったワンコさん、やっぱり頭のネジが(以下略)。そんなこんなでこの2条40mは初登ではないだろうか。幕営地には左岸側から下ることとした。1日目おしまい。

2条40mの落ち口

2日目:2段60m大滝、2段50m大滝登攀

2段60m
幕営地からメインディッシュの2段60mはすぐ。1段目は登れそうなルンゼ状やさらに右側らのワイドクラックのラインがいくつか登れそうだ。せっかくなので1ピッチ目をリードさせてもらう事に。大滝のリードは初なので心拍数が上がる。痛めている肋骨もアドレナリンのせいかロキソニンのお陰か全く痛みが無かった。

2段60m大滝の全景。滝の右側に2本ほどのルンゼ状がある

一番左は難しそうなので、なんとか行けそうな右から離陸

一旦中央に移り上部で右に、中々に緊張する

で、いくつかあるうちの、確実に登れそうな右側のルンゼ状というべきか、ワイドクラックというべきか、取り付く。簡単そうではあるが、それでも私にとっては緊張する。若干右上する形でブッシュまで上がり、そこから左のルンゼ上あたりまでトラバースしピッチを切った。50mロープいっぱいいっぱい。

ルンゼを抜けて少し右上の木でランナーを取り左にトラバース

2ピッチ目はキノさんがまずはリードしたが、バンドを少し上がり過ぎたため、下段の落ち口渡がかなり厳しいようで戻って来た。ワンコさんと交代しワンコさんが下段落ち口より少し上のテラス状まで上がりピッチを切った。

2ピッチ目終了点。1段目の落ち口。

3ピッチ目、上部が見えないがキムリード。出だし直後に残置ハーケンがあり、そこの乗越が悪そうだ。水線側にも行こうとしてたが、際どすぎるため諦めたようだ。

3ピッチ目、キム

乗越の先は比較的快適に登る事ができた。これにて60m大滝はトップアウト。

終了点

さて、このままどこぞの尾根に上がり一般登山道で下山するものだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

2段50m
2段50mだろうか。遡行図では左岸巻きと書いてるがワンコさんが登りたくなったらしい。下部は優しそうに見えるが中段から怪しい。この滝も登られてる記録はほぼ無さそうだ。ちゃんと調べていないが。

というわけでワンコさんリード。案の定少し登ったところで大苦戦。しかもハーケンを打っていたら、突然甲高い音がした。一瞬、ハーケンが折れたのかと思ったがどうやらハンマーのピック側が折れて吹っ飛んだらしい。ブレード側じゃなくて良かった。。。

ヌメヌメ50m滝

で、なんやかんや苦戦しながら右上していき1段目の手前あたりから右のブッシュを抜け50mロープをほぼ出し切った。

このあたりの草付きで苦戦していた

2段目がどうなってるかはよく分からないが、もう満足しただろう。。。そのままその先に続く連瀑へと向かい、適当に尾根まで上がり一般道と合流した。この下山が兎に角長く怠かったのだが、その点については書く気力も無い。

何だかんだ登れそうな大滝は全部登ったので皆、大満足の遡行になったようだ。私自身も2ピッチリードする事が出来、フォローでもノーミスで(アブミは大変に苦労したわけだが)登りきれ、少しずつではあるが成長を感じれている(落ち着いてきたなと思う)。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

QooQ