[冬季アルパイン]阿弥陀岳北西稜 八ヶ岳 2022/12/30

2023/01/02

2022年 アイスクライミング アルパイン クライミング テント泊山行 山行記録 雪山 登山 八ヶ岳連峰

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昨年末の荒天の中での赤岳アタックに引き続き、佐藤さんとの山行となった今回の阿弥陀岳北西稜。

グレードは2級となっており、八ヶ岳の岩稜登りとしては最も難しいルートの一つ(改訂 冬期クライミング参照、2022年10月改訂)となっている。シーズン初めの足慣らし、次のステップに向けての挑戦ということでそんなルートに挑んだ。

山行概要

日程:2022年12月29日~31日

山行形態:冬季登攀

メンバー:がんちゃん、佐藤さん

主な装備:カム#0.5~#3、ハーフロープ50mx2、アイスバイルx2、縦爪アイゼン(モノポイント)

山行詳細

1日目:アプローチ

この日はアプローチで、茅野からバスという事もあり時間はあまりないが南沢大滝でアイスの練習をしようという事になった。

そんなこんなで南沢小滝でリード1本、大滝でリード1本して撤収。大滝では散々だったが色々見つめ直すきっかけとなった。

南沢小滝

南沢大滝

南沢に阿弥陀北西稜へのトレースがある事を確認し(しかしこれは・・)行者小屋でテント泊。夕食は尾西のアルファ米(わかめご飯)とコーンスープなどで簡単に。就寝。



2日目:阿弥陀岳北西稜アタック

4時起床。2度寝して4時15分ぐらいに再び目覚める。朝食はコーンスープとカレーメシ。
6時2分、行者小屋を出発。気温は低いが風が無く快晴の予報なのでゴキゲンスタートだ。


6時24分、摩利支天沢へ入るトレースを辿る(実は北西稜へのトレースは無かった)。そこから摩利支天大滝手前の小滝までトレースがあった。このあたりで、どうやら北西稜へのトレースではない事に気づく。


ここからトラバースして北西稜を目指す事にしたが、トレースは無いため、膝から腰ぐらいまでのラッセルとなる。最初は佐藤さんにラッセルしてもらうが直ぐにバテたので交代し、そこからは北西稜まで先頭固定でラッセルした。


7時40分、北西稜の尾根に乗り上げる。5分程休憩し再スタート。尾根にもトレースは無く、この日取り付いたのは私たちだけである事を悟る。貸し切り御礼。




いい感じの所でキジを撃ってみたりする。クライミングパートの岩壁まではまだしばらくラッセルが続いた。何かの目印になる岩は右側に巻いていく。


8時10分、樹林帯を抜けハイマツがちらほら出ているリッジの右側を進み、見え始めた岩壁を目指す。


10時15分、恐らく下部岩壁に到着。所々残置ハーケンも見受けられた。所々Ⅱ~Ⅲ級程度の箇所も出てくるがロープは出さずに進んだ。というかまともに支点を取れそうにない感じであった。雪付きの状態にもよるのだろう。下部岩壁の終了点と思われる個所にペツルボルトがあった。


10時45分、上部岩壁。ここから本格的な登攀となるがルートの全容がイマイチつかめなかった。もしかしてここはまだ下部なのか?と疑いながら進む。結局下記のルート取りとなった。

上部岩壁登攀ルート


1ピッチ目:佐藤さんリード、20m
10時52分、取り付きから右にトラバース。下部岩壁であれば20mほどでピッチを切れるはずだが、どうもそんな感じではない。



11時、恐らくここは上部岩壁だろうという事で、この先本格的な登攀になるはずだ。流石にこのまま延ばすのは良くなさそうなので、ピナクルでピッチを切って交代する事に。
このピッチはただの歩きだったので、ビレイはしてもらわずロープを引き上げた。


2ピッチ目:がんちゃんリード、50m
11時過ぎ、上部に見えている核心クラック手前のバンドを目指して右上していく。草付きのフェイス主体だがなかなか難しい。

時折ボルトもあるが、雪で埋まっていたりするのだろうか。支点は豊富では無く、雪を払いのけスタンスを探し、登っていく。かろうじてカムを効かせたりするもランナウトする事が多かった。そして何よりも嫌だったのは岩が兎に角脆い事だった。絶対に落ちれない。


離陸直後のトラバースは本当に怖かった。本当に。
テリアを決める事が出来ず、暫くランナウトした後に#0.75のカムを効かせた時の安堵感。

ピナクルで支点を取った時にロープ半分のコール。上を見上げるとまだピッチを切れそうにない。。。ここからも際どい登攀が続くのかと思いながら、アドレナリンをドバドバ出し登って行く。中途半端な雪付きが嫌になる。

雪の下が岩なのか草付きなのか分からないが兎に角バイルを叩き込む。時折、いや割と高頻度で弾かれるがそうしないと命の保証が無かった。歯が丸くなっていった。
終盤の厳しい所では残置ハーケンに助けられた。ついでに言っておくとアンジュSが嫌いになった。グローブだとロープクリップがしにくすぎる。

最後の方は草付きメインとなりサクサク進む。と言っても支点は取れないし、結構立っているので気は抜けない。ランナウトしつつ、結局ロープ50mいっぱいに出し、核心のクラック手前まで来た所でカム2個(#0.5、#3)とピナクル1点で支点構築しピッチを切った。


目の前のクラックにはボルトが幾つか見えている、ここで間違いない。
13時15分、フォローの佐藤さんも到着。この1ピッチで2時間近く使った事になる。



3ピッチ目:佐藤さんリード(絆リード)、20m
核心の最終ピッチはどこぞの情報だと40m、Ⅳ、A1となっている。中々に悪そうに見えるが、離陸すぐにボルトがあるし、上にもボルトが見えるという事もあって、まぁ万が一落ちても大丈夫だろうと思い佐藤さんにリードするか聞く。したいとのことだったので任せる(フラグ)。


ちなみにルートは垂壁か右側のクラック(凹角)を選ぶことができ、垂壁はフリーだとかなり手ごわいようで、アブミA1が必要なようだ。クラックはオフウィズスとなっており、ボルトとハーケンはあるが、カムも使えそうだ。アイゼンと手袋だと若干難しそう。

3ピン目にヌンチャクを掛けたが、ロープクリップにまごついていた。どうやらなかなか辛そうにしているので、手繰り落ちするんじゃないかと身構える。まぁ3ピン目だし、下の2ピン共ボルトなので・・・と思っていた矢先、叫び声と共に落ちた。

グランドはしていないので様子を見て、本人に大丈夫であることを確認する。落ち着くのをしばらく待ち、リードを続行する意思があったので継続。しかし腕がパンプしておりやはり厳しいとの事だったのでリードを交代。
こうなると時間的なものもあるのでフリーに拘らず早く抜ける事を意識してA0、テンションもお構いなしでまずは3ピン目まで登ってロープクリップ。と言いつつA0でも結構難しかった。

ハンドサイズのクラックはバイルがあまり有効では無さそうであった。ガバガバではあるがカム#2を突っ込み手がかりとした。後は何とかバイルをジャムらせモアパワーで登った。パンプしそうだった。


そういえばこのあたりでヘリが飛んでいるのが見えた。後で知った事だが、どうやら裏同心や大同心で事故があったようだ。

核心のクラックを登り終え、ペツルのボルトで終了点を取り安堵した。「おっしゃー」と叫んだ。見下ろす景色は絶景だった。バックではヘリの音が鳴り響いていたが。ちなみにボルトに掛かっていた残置ロープはボロくて切れそうに見えたので使わない方がいいだろう。

15時20分、ロープ解除し、軽く休憩。
15時27分、1手だけ微妙に悪い岩を越えて後は山頂までリッジを進む。
15時55分、スタートから9時間33分。阿弥陀岳山頂。抱き合う。


16時3分、下山開始。
下山路は雪の状態が安定していたので中岳のコル手前から中岳沢を選択。中岳沢は過去に雪崩による事故が発生しているので慎重に。状態が悪ければ中岳を経て文三郎尾根を下った方が良いだろう。

そんな事を思いながら中岳沢を見ると熊がいた。いやだなぁと思い進む。夏道の一般道にトラバースして下るしかないのか、、、と思いながら進む。よく見るとカモシカだった。一安心。そもそも熊は冬眠しているか。

カモシカが熊に見えた

ラクチン尻セードを交えながら下山。アーベントロートが僕らを迎えてくれた。
16時48分、行動時間10時間26分で行者小屋到着。握手を交わした。


その後、3日目に一緒にアイスをするフキコとナミエが合流した。鍋を作ってくれた。感謝。



3日目:摩利支天大滝アイス

朝、ユウキ君とケント君が合流し摩利支天大滝へ。貸し切り。手前の小滝はリードしたが、疲れもあるのかあまりしっくりこず、結構しんどかった。



摩利支天大滝はユウキ君がリードでお見事トップアウト。MOS。トップロープを右のラインと左の氷柱に張ってもらった。それぞれ1本登ったがテンションかけまくり。まだまだ練習が必要だ。そんなこんなで楽しんで終了。


以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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