[冬季アルパイン]宝剣岳 中央稜左フランケ、東面壁左フランケ敗退 2023/2/4-5

2023/02/07

2023年 アルパイン クライミング テント泊山行 山行記録 雪山 中央アルプス 登山

t f B! P L
バスとかロープウェイ並ぶの面倒臭いなー。終ロープウェイもあるしなー。そういや2年ほど前に雪崩も起きてるなーと思って中々行かず仕舞いだった宝剣岳。

アイスもやりたいけどアルパインもやりたい。スキーもしたいし、大滝登攀も・・・。うーん、体がいくつあっても足りないぞ?と思いつつ、今回は初めての宝剣岳に行くことになりました。

パートナーと色々協議した結果、1日目に天狗尾根の学芸大ルート、2日目に中央稜を登り山頂へ。というプランで行くことに。私はそれぞれのルートの核心ピッチをこなす自信は無かったので核心は私よりフリーバリバリ登れるパートナーに任せる事にしました。

山行概要

日程:2023年2月4日~5日

山行形態:冬季登攀

メンバー:がんちゃん、ひろぴ

主な装備:カム#0.4~#1x1セット、#2~3x2セット、#4x1、ハーフロープ50mx2、、平爪アイゼン、アックスx2(ペツルのガリー、サミットエボ)


山行詳細

1日目:千畳敷駅~宝剣山荘らへん(テント設営)~東面壁左フランケ~テン場

フィットがいう事を聞かず高速を逆走したため(反対方向に行ったの意)、始発のバスには乗れなかったが臨時便の2本目に乗ることが出来た。そういえばバス停で昨シーズンの八ヶ岳南沢大滝でお会いした方と再会しお話する事が出来た。

尚、初めての千畳敷、うっかりヤマレコの割引を使い忘れた。悲しい。

事前の天気予報ではそこそこ晴れそうな気配だったが、いざ千畳敷についてみると真っ白だった。ゲンナリしながら9時50分スタート。

ゲンナリしている

この日は西面壁の天狗尾根ルートを登ろうと計画していたが、この視界の悪さである。1日目と2日目の計画をスイッチし、グレード的にも天狗尾根より優しい中央稜を登ろうという事になった。

宝剣山荘まではハァハァ言いながら、時折アリの渋滞を抜かしたり抜いてもらったりしながら10時52分到着。トレースがありがたい。アイゼン無しで登ったが、終盤のつづら折り区間は少し悪いのであった方が良かった。ちゃちゃっとテントを設営して準備する。

トレースはあるがしんどい

元来た道を降りていくわけだが、視界があまりないため、中央稜の取り付きがイマイチわからず結局本来の取りつきを通り過ぎてしまい、東面壁左フランケあたりまで来てしまった。

視界が悪く宝剣岳の全貌が分からなかった

しかしそんなことも分からず、残置ハーケンが打たれていたこともあり、ああここが取り付きだろうと推測して登り始めた。

1ピッチ目:がんちゃんリード

12時44分、登攀開始。出だしから兎に角悪い。岩の際は踏み抜きなのでなかなか思うように上がれない。右往左往して結局少し左から乗りあがった。

何とかかんとか登って適当な灌木とアックスを支点にピッチを切った。40mほど伸ばしただろうか。かなり時間がかかった。

1ピッチ目、ここから取り付いた

1ピッチ目を登るひろぴ


2ピッチ目:ひろゆリード

14時21分、2ピッチ目スタート。ここも灌木でしか支点がとれない。視界も悪い。どうも変な感じがする。
ロープアップ待ちのタイミングでGPSを確認すると、どう見ても中央稜ではなさそうであった。事前にヤマレコの地図をダウンロードして、他の人の軌跡を見て置くべきだったか。

2ピッチ目を登るひろぴ

後に日本登山大系8(290ページ)を確認したところ、恐らく東面壁の左フランケ(中央稜の左フランケルートとは異なる、3本のルートあり)のいずれかのルートだろうという事が分かった。そもそも冬期に登攀するルートでは無さそう。

結局、このまま進んでも容易には山頂にたどり付けそうになかった。目の前は極悪そうに見えるナイフリッジだ。協議の結果、時間的にもよろしくないので、懸垂して進行方向右手に見えるルンゼに降りて撤退する事とした。
15時35分、撤退。明日どうするか考えながらカールを登り返した。

無事に戻ってきた

まずはどう考えても下調べ不足。今回のリーダーはひろゆだったという事もあり、私自身あまり調べていなかったのも良くなかった。最初に地図を見た時に感じた違和感をそのままにしたのも良くない。


16時36分、無事にテント場に帰還。荷物を整理し一息つく。
翌日の作戦会議、明日は天気も良いし視界良好でそんなこんなで2日目こそは中央稜に登ろうという事になったが・・・果たして。。。

さて、食担は私だ。今回はキムチ鍋にした。20時17分就寝。2度ほど目が覚めてピーボトルを満たした。

レッツクッキング

1回戦、豚肉とソーセージ

2日目:宝剣山荘~中央稜左フランケルート~テン場~千畳敷駅

5時ごろ起床。朝ごはんは味噌ラーメンに餅。

ダラダラと準備を済ませ、7時5分スタート。今日は4ピッチほどだしアプローチもすぐだしとタカをくくって遅いスタートとなった。

朝焼けに生える天狗岩

取り付きをあーだーこーだと言いながら今度こそ間違いないだろうと、中央稜に取りつくことが出来た。しかし・・・。

ルンゼを横断
ここから取り付いた

1ピッチ目:がんちゃんリード

8時30分登攀開始。これまた出だしから悪い。何とか離陸して立木でランナーを取っていくが、とにかく雪が深くラッセル祭り。全然進まない。深い雪をアックスで叩き落としながら進んでいく。



1ピッチ目、雪が深く大変だった

突き当りの壁が見える、あそこを直上は厳しいな、左にトラバースかなと思いまながら、見えているリングボルトに向かって少しずつ歩みを進める。

壁を目指して進む

息を上げながら何とか壁にたどり着いた。左へのトラバースは悪そうだがそれしか選択肢が無さそう。支点があることを望みながら壁に着いた雪を掘り進め左へとトラバース。

少しホリホリしていたら終了点があった。ホッとしてピッチを切る。40m。

発掘した終了点

1ピッチ目を登るひろぴ、後ろには富士山やアリの行列が見えるた


2ピッチ目:ひろぴリード

9時54分、2ピッチ目スタート。左トラバースからの周りこんで直上。かなり悪そうで苦労していた。トラバースが終わって乗りあがるところでまごまごしている。

2ピッチ目ひろぴ

突然、アッと声があがった。落ちるひろゆ。止まった。怪我は無さそうだ。そのままトライ継続。何とかカムとハーケンでピッチを切ったようだ。

進んでみるとめちゃくちゃ悪いじゃないか。ハーケンやリングボルトが連打されている。
躊躇せずA0を使いまくって20mほどで合流。その先を見る。

どうみてもA1

3ピッチ目:がんちゃんリード
11時50分、3ピッチ目スタート。なんじゃこりゃなんじゃこりゃ。めちゃくちゃ悪そう。ところどころ古いハーケンやリングボルトはあるものの、スタンスが悪すぎる。これってもしかして・・・A1ルートでは・・・?と思ったが抜けない事にはどうしようもない。

右上していった

時間が結構迫っている(終ロープウェイがあるので)のでとにかく早く抜けたかった。A1なら任せろ!と念仏を唱えながら、あの手この手を使って突破した。灌木に残置支点があった。そこに妙に長いロープも垂れ下がっていた。恐らくここは直上出来ないので左に回り込んで凹角を上がるのだろう。


登山大系のトポと照らし合わせると、どうやら中央稜左フランケの人工ルートに入りこんでしまっているようだった。このルートからでも山頂に抜けられるが、そもそもアブミなんて持ってきていないし、標高から考えてもまだ先は長い。

このままでは時間が、、、厳しいんじゃないか?懸垂かなぁ、とひろぴを諭す。一応少し行ってみるとのことだったので時間が許す限りトライ。

4ピッチ目:ひろぴリード
相変わらず雪が深く進まない。掘っても足元は微妙な草付きかスラブ。結局突破出来そうにないのでこのピッチを登りきらずに撤退する事となった。クライムダウンしてもらい合流。

視界は良好だったので、右のルンゼに降りた。懸垂したラインがおそらく本来の中央稜の1ピッチ目のルートだったのだろう。

ルンゼに懸垂

少し落胆しながら、壁を眺めあそこがルートでー。。とか言いながらテント場に戻った。荷物を片付け惜しみながら後にした。ついでに天狗岩~A沢あたりを遠望で偵察しておいた。

15時下山開始。無事に終ロープウェイに乗ることが出来た。

書き出すと色々あるが、今回は2日間とも思うようにいかず当初の目的を達成する事が出来なかった。下の写真はたまたま我々が登っている所を撮ってもらったものだ。こうやってみるとどのルートを登ったのかがよく分かった。

オレンジが登攀ライン3ピッチ、赤で懸垂下降

反省会

・下調べ不足
何でもかんでも用意すればいいというわけではないと思うが、取り付きの標高や特徴ぐらいは抑えておくべきだった。今回はリーダーじゃないという事もあって、人任せにしている部分が多かった。思い返すとルートミスに気が付けるタイミングは多々あった(実際におかしいなと思うことは何度かあったが確信的な物が無く、行動変更出来なかった)。

・登攀力不足
それほどフリーにはこだわっていないので、無理なら割とあっさりA0を使ったりはするが、それでもこのルートのピッチグレードに対して登攀力が不足している部分もあったかもしれない。すんなり登れればその分時間の短縮、安全性向上にもなるわけだし。

・時間への考え方
2日目は結果論だが兎に角くスタートが遅かった。4ピッチだしそんなにかからないだろうと思っていたが、何があるか分からないアルパインなのだからもっと早くスタートすべきだった。

・独り言
雪が安定している春ならもっと容易に登れそう。
トポに捕らわれすぎ。もっと自由に弱点を突いたルーファイをしてもいいんじゃないか。ゲレンデチックな八ヶ岳とは違うのだから。アルパインってそういうものだと思う。多分、しらんけど。

どこぞで

そんなこんなで、久しぶりに悔しさがこみ上げる山行となったが、今回の失敗体験を通じて学ぶことは多々あったように思うので、結果的にこれはこれでいい経験となり良かったなと思う。

ちょっと良かったというか自分ナイスだと思ったのは、アルパイン的にどう見ても計画書記載の本数じゃアルヌンが少ないと思ったので、(勝手に)多めに持って行った事だろうか。まぁそもそもそう思ったなら事前に相談すべきだが。

明治亭のソースをカツしたやつ

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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