世界百名瀑の一つを登る
折角大台ケ原に来ているので(ブッシュマンを登った)もうちょっと何かしたい。気温も低くなり、がっつり浸かる沢登りは嫌だ。シーズン終盤にもなり滝の登攀力は上がってきているし、足に優しい(サワタビで歩くのが辛い)登攀LOVEだ。
というわけで何か目ぼしい大滝登攀・・・大台ケ原と言えば世界百名瀑(西の滝200mとセット、こっちの方が登攀難易度は高そう)の一つでもある、東ノ川・中の滝250mがあるじゃないか。と相成り、中の滝を登攀する事となった。
左に西の滝、右に中の滝、俺はその真ん中 |
今回のパートナーのうちの一人アカコンさんは10月7日に完登出来ずリベンジ予定だったようだが、そもそも登れなかったのはワンコさんの助言をちゃんと聞かなかったからだぞ!!とは言えず(ワンコさんが言うてた)、当日を迎えるのであった。
尚、世界百名瀑は日本では他に称名滝(富山、349m)、華厳滝(栃木、97m)、羽衣の滝(北海道、270m)、那智滝(和歌山、133m)、梅花皮の滝(かいらぎのたき、山形、270m)、銀河の滝(北海道、120m)の6つがある。
山行概要
日程:2023年10月22日
天気:晴れ
山行形態:大滝登攀
メンバー:がんちゃん、むらっち、アカコンさん
ギア
50mハーフロープx1、アルヌン60cmx11、ハーケン、カムx2(#2まで,#3は意地でも持って行かない)、ボールナッツ、アブミ、その他各種スリング
結局ハーケン、ボールナッツ、アブミは使わなかったが、数カ所残置ハーケンが見受けられた。靴は当然サワタビ。
駐車場とトイレと携帯の電波
駐車は大台ケ原駐車場(大台ヶ原ビジターセンター)へ。台数は200台と十分あり(といっても登山道があり、ハイキング客なども多数いるのでハイシーズンは注意)、トイレや売店、携帯の電波もあります。時折周辺で熊が出るのでそのあたりは注意が必要。
この日は紅葉&天気が良いということもあり、朝5時には駐車場が満車になったようだ。我々は7時過ぎに到着したので残念ながら・・・とデポして準備を進めていたら運よく空きを発見出来た。
山行詳細
東ノ川・中の滝がある西大台に入山するためには事前レクチャー(利用申請)が必要。前日に済ませておいた。予約できるのは3カ月前からだ。仮予約時にクレジットカード(もろもろの処理が楽なのでオススメ、2023年度から開始!)で1000円の入山事務手数料(別途利用料220円必要)を支払い、レクチャーを受け(当日レクチャーであれば、クライミングであること考慮して早めに退出させてくれるようである)、認定証明書を貰う事が出来る。
その年度中は有効だが、入山時には毎回、受講済みである確認を大台ヶ原ビジターセンターで受けてからの立入となっている(毎回料金が必要)。別途、近くの(全然近くないけど)入浴券をもらう事が出来るので活用されたし(小処の湯は2023年11月で閉業となるため、上北山温泉薬師湯のみで利用可能)
ちなみに入山の5日前には予約が必要です。予定人数に満たなかった分は売店で当日券が売られているとかいないとか。
アプローチ
駐車場からシオカラ谷吊橋を経て、滝見尾根から谷底へ。ゆっくり歩いて1時間半。
7時52分駐車場スタート、中の滝取り付きに9時18分到着。
ザックザック |
取り付きが見えてきた |
登攀詳細
ネットや登山大系の記録にあるブッシュや樹林帯ばかりのライン取りは面白くない。折角やるならなるべく水線突破でという心持ちで挑む事にした(少なくとも自分リードのピッチは)。
全体的にクラックが豊富でカムで支点取り放題。ヌメりも少なく快適であった。
1P目:むらっち、40m、水線。
9時54分登攀開始。取り付きは岩壁左側の2条になっている右側ラインの水線を。記録では岩壁右側のブッシュ帯などを登っている事が多いようだ。何しに来てるん?と思わざるを得ない。
準備中 |
1P目全景、右上に抜ける |
30mほど伸ばしてハング気味の箇所を右にトラバースしてピッチを切る。
10時31分、フォローの登攀完了。
抜け口のハングトラバース箇所 |
1ピッチ目終了点を上から |
2P目:フリー、終了点からの登攀は流れが悪くなるのでそのまま5mほど上がれば小テラス状となる。そこからさらに50mほどフリーで上がると大テラスへ着く。10時54分。
3P目:がんちゃん、50m、水線。
11時20分登攀開始。
全景 |
準備完了 |
狙うはもちろん水線。序盤は簡単そうだが中段からの水流に突っ込むところが大変そうだ。抜け口も下から見ると被ってるようであり、水圧がどうか??と言った感じ。まぁ支点は取れそうだし、陽も当たり風も弱く暖かいので大丈夫だろう。の精神でありったけのギアを抱えいざ出陣。
#2までのカム2セットをどう残すか考えながら使用 |
まずは水線を左に横断し、濡れた壁沿いを登っていく。少し上がった所から右にトラバースして水線をまた戻る。
出だしは左から |
核心の抜け口手前あたりはレイバック気味に上がっていき、抜け口は一旦水流の中に顔と体を突っ込みカムを決め、1段降りて外に出てからステミングでズリズリ上がり攻略完了。気持ちのいい登攀。
中段から水線を攻める |
終了点は抜け口左のCS2連を使用した。12時28分、フォローも登攀完了。
フォロー登攀中 |
このあとゴボウしてた |
陽が暖かく気持ちいい |
4P目:フリーで8畳テラスまで20mほど上がり、12時52分。広くて綺麗。陽が暖かい。寝ころんで休憩。8畳テラスからちょいと上がり、微妙なところを登ってしまったのでワンポイントお助け紐を出した。
適当にフリーで上がる |
8畳テラスにて休憩 |
5P目:アカコンさん、40m、凹角。
左に見える水線も余裕で登れそうだが、次はアカコンさんのターン。濡れたく無さそうだし、まぁ好きなところをという事で右側の凹角クラックを登る事に。心の中では水線登って欲しいなーと思っていたがまぁいっか。
出だし被っていて悪い |
13時ジャスト登攀開始。
離陸が被っていて核心。軽くずり落ちるもなんとかかんとか離陸に成功しあとは簡単な岩登りで40mほど伸ばし壁が立ってる手前の頼りない灌木でピッチを切る。
微妙な細い木1本でしかマスターを取って無かったのでコラコラコラーと言って分散支点を構築しなおした。13時45分、フォローの登攀完了。
終了点を作り直した |
6P目:むらっち、45m、凹角からブッシュ。
これまた出だしが悪い。腕を結構使うパワー系凹角を登り後は簡単なブッシュ歩き。途中で謎にハーケンが打たれていたが、普通に歩けるばしょだぞ?と思いながらスルー。適当な灌木でピッチを切る。
右側の凹角、出だしが微妙 |
ワンポイント越えれば簡単なブッシュ |
ブッシュ帯になるので適当にピッチを切る |
7P目:フリー、ブッシュ樹林、数百m。
落ち口を目指し踏み跡らしきものを左上していく。所々かなり悪い箇所が出てくる。
岩壁に突き当たったら適当にルーファイして超える。あまり右に行きすぎないように。
そろそろ落ち口と同じぐらいの高さになってきたし、かなり悪い。
左側にバンドが繋がってそう。という事でロープを出すことに。
8P目:がんちゃん、ブッシュ樹林のバンドをトラバース、55m。
岩壁のトラバース開始地点 |
左にバンドをトラバースしていく。50mで落ち口まで辿りつけるのか不安ではあるが、切り立ったバンドを木の間を縫うようにして進んでいく。途中でハンドサイズのクラックが現れた。#3が決まりそうだがそんなものは持っていない。えいやと乗り越えてさらに左に進んでいくと景色が広がり落ち口が見えてきた。
落ち口が見えて安堵 |
しかしロープが重い。ピンピンだ。どうやら50mいっぱい出切ったようだがあと5mぐらい欲しい。とりあえず無理やり引っ張りまくってみる。意図が通じたのか少しロープが出た。
なんとかかんとか55mほど伸ばして落ち口手前の小さいテラス状まで辿り着いた。ここでピッチを切る。あとは5mバンドをフリーでトラバースすれば落ち口だ!!
登攀終了 |
15時50分、全員が落ち口に到着。
落ち口から下を見ると最上段は快適に登攀出来そうだが(上からは階段状に見えた)、そもそも取り付くにはそこへトラバースする必要がある。恐らく8P目のスタート地点よりもう少し下にあった岩壁を左に進む必要があるのだろう。折角なら水線登攀で落ち口に抜けたかったが、ここまでの登攀で十分に楽しめたしまぁいいだろう。
中の滝落ち口にて |
落ち口の上流側 |
紅葉が綺麗だ |
ネット上や登山大系の記録ではあまり水線を登っていないようで、岩壁やブッシュ登りに終始しており、これが大滝登攀なのか・・・?と思っていた。
どうせ登るなら水線を攻めなきゃ!と思っていたのでそれを実行に移すことが出来て良かった。
実際に弱点を突けば水線通しでフリーで十分登る事が可能であり(恐らく最上段下部は厳しいが)、気持ちいの良い大滝登攀を楽しむ事が出来る。というわけでこの記録を見た方は、数ピッチだけでもいいのでぜひとも水線突破に挑戦して頂きたい。
ブッシュや岩登りは他の岩場でやればいいのだから。
落ち口 |
デプローチ
16時6分下山開始、落ち口右側の踏み跡をたどり16時19分尾根に突き上げた。
あとは直線距離で1.5kmほどだろうか。踏み跡明瞭。
意外と踏み跡明瞭 |
所々、柵が現れるので不思議な力を使って突破する。
数回現れる魔の柵 |
16時48分、一般道に合流。安堵。
途中で見かけたロクショウグサレキン |
17時ちょうど、駐車場到着。
よかったらYoutube(がんちゃんねる)も見てください。
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