[アルパイン]大峰 石ヤ塔 第1岩峰 北面 Dirac sea マルチピッチクライミング 2024/7/7

2024/07/07

2024年 アルパイン クライミング マルチピッチクライミング 山行記録 大峰山 登山 無雪期

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ブッシュと大チムニーを楽しめる石ヤ塔 Dirac seaを登った

1年ぶりの剱岳。今回はチンネ左稜線を1dayだ!!と思っていたが、諸事情により中止となってしまった。

なんだか楽しいマルチピッチクライミングをしたいと思っていたのだが、どこで見つけたのか面白そうなルートがあるじゃないか。という事で今回は奈良県の山奥、下北山村に聳え立つ岩壁を攀じ登ることとなった。ということを書こうと思ったが雨天により1週間延期。灼熱の七夕クライミングのはじまりはじまり。

その名は「石ヤ塔」(いしやとう)。

英語だとIshiyato Rock Formationだろうか。
美しい柱状の岩が何本もそそり立つ景観地であり、その姿は美しい。
クライマーならどこを登ろうかと思いを馳せる事間違いナシゴレン。
大峰山脈を流れる池郷川は沢登りでも有名で、そんなほとりに石ヤ塔。

いくつかのマルチピッチルートがあるが、今回はグレード的にも手ごろな(名張グレードに似ているのでちょっと辛口)第1岩峰の北面にあるDirac seaを登る事となった。
Dirac seaは計6ピッチでグレードはⅣ~5.9(5.9+?)となっている。

ちなみに看板ルートは前後が開けた巨大チムニーの立体的な登攀が魅力のヒラニアガルバである。まぁそのピッチはDirac seaでも登るんやけど。

細かいルート情報、トポなどは開拓者さんのサイトや他ブログなどで取り上げられているのでそちらを参照されたし。山椒は好きではない。

・まずはここ、同人ルーデンスの詳細な記録、トポ

・ヒラニアガルバ登攀の記録(神戸山岳会)

・Dirac Sea開拓など

尚、登攀の際は下記注意事項にあるようにハーケンなどは使わないように注意されたし。リムーバルプロテクションを使いましょう。


山行概要

日程:2024年7月7日

天気:灼熱の七夕

山行形態:マルチピッチクライミング

メンバー:がんちゃん、むらっち


ギア

50mハーフロープx2、キャメロット0.3~#3x2、#0.1,#0.2,#4をx1


駐車場とトイレ

林道脇に2台ほど駐車可能。モノレールのすぐ横のスペースは関係者スペースなので駐車しないように注意。トイレはもちろん無い。

山行詳細

<Dirac sea 6ピッチ>

アプローチ
林業用のモノレール軌道があるのでそれを頼りに池郷川まで下降、10分ほど。
吊り橋を渡って、大きな岩小屋があるので右に巻いたら少しあがり踏み跡沿いに左へ。ガレガレのルンゼを通過する。

モノレールにもう乗れーる?

強度が怪しいつり橋

基本的には踏み跡がある。たまにテープやケルンも。あまりトラバースしすぎると行き詰る。そう、微妙なとこを行き過ぎてシダの生い茂るルンゼを少し上がる羽目になりました。まぁ踏み跡に合流できましたけども。。。

適当に詰めたルンゼ

ルンゼを詰めていくと左に入る道にケルンあり

あとは第1岩峰が視認できるので適当に歩けば問題ないだろう。岩峰に突き当たれば基部を右に回り込めば東面に出る事ができる。ここで最初に目に入る顕著なクラックが「扉を開けて」の1ピッチ目で、結構面白そう。

扉を開けて取りつき。心は大体開いてます。

そこから右のルンゼを5分ほど登っていくとDirac Seaの取りつきに行ける。まぁ正直取りつき回りはよくわからない。生い茂ってる。苔もいる。この日は灼熱の太陽だったが、北面で生い茂ってるのでなんとか耐えられた。風も少しあるので助かる。

5分ほど上がればDirac seaの取りつき

一応取りつき付近は水が流れていたが、上がると無いので要注意。ザックは1つにしてフォローが上げることとした。

1P目:がんちゃん、25m、Ⅳ
出だしにちょいクラックがあるが、クラッククライミングというほどでもない。ほぼ藪。みんな大好き藪漕ぎに終始する。好きだよこういうの。適当に岩沿いに25mほど進んで顕著なクラックを杉田謙信、いや過ぎたあたりで大木でピッチを切る。Ⅳ???アプローチシューズでもいけるレベル。

苔苔の1ピッチ目

顕著な苔クラックを横目に藪漕ぎに勤しむ

2P目:むらっち、30m、Ⅳ
15mほど藪漕ぎを堪能する。ちょっと傾斜があるので要注意。あれでもない、これでもないといいながら目印のクラックを探す。茨があり1マス戻る。

藪過ぎて先が良くわからない。茨に注意

多分これだろうということで直上しているクラックにターゲットロックオン。ここからようやく壁に取りつく。Ⅳ・・・?とは思えないクラックをあえぎながら灌木なども使い登る。ああ、苔むしてて楽しいね。体感5.8。30mほどでピッチを切る。結局トポにある左上バンドが何なのかはわからず、墓場まで持ち越すことにした。

Ⅳとは到底思えない苔クラックに苦しむ。

3P目:がんちゃん、5.8、20m
コーナーにあるコケコッコー共和国なクラックからスタート。ああ、この自然のクライミングって感じがいい。とか言いながら登る。苔で足が滑る滑る。離陸核心。ちょいちょいと登って小テラスへ。

苔で滑るコーナークラック

木を最大限活用して自然と対話。

そこからさらに左のフェースを登りワイドなクラックへ突っ込む。左の大テラスに到着。壁から出るように生えてる大木でビレイ。やりにくい。下は苔ってるのでお座りビレイ。むらっちを迎え入れて大休止。暑すぎて食欲はないが何か食べないと、、、ということで柿ピーわさび味をぼりぼりする。水もたくさん飲みましょう。

上部のフェースからワイド

4P目:むらっち、5.8、25m
右にあるフェースをえいやとマントルで乗りあがる。ガバはあるので勢いよくどうぞ。そこから左にトラバースしていざワイドクラックへ。あ、このマントルさんしなくても下からワイドに入ることもできると思います。プロテクションは取れなさそうだけど。

この右側をマントルさん

ワイドに入ればバックフットサイズでもじもじ君をしながらじわりじわりと高度を稼ぎ、最後は激狭トンネルでビレイ。これたぶんファットな人通れないですよ・・・。ワイドフォローはザックをぶら下げました。

ワイドさんを下から見上げてみました。マントルせずにここを登るのもありかも。

激狭トンネルを潜れば千と千尋の世界が待っているとかどうとか

5P目:がんちゃん、5.9、15m
狭いトンネルを抜けると足元が切れ落ちてるので要注意。大開脚して向かいの壁にえいやとステミング。身体硬いから脚攣るかと思った足尾銅山。渡ったら大チムニーがお出迎え。ちょっくら上がってズイズイトラバース。

トンネルの向こう側の異世界。

うーん、終了点が見当たらない。よく見ると折れたボルト跡。とりあえずそのまま南面に向かってみると大木があったのでいったんそこで切る。しかし陽が当たって意識が飛びそうになる。i can fly.

お出まし

終了点は残したままチムニーにカムバックしてそこでビレイ。ああ、涼しい。一応スモールカムを2つ突っ込みステーション構築。5.9・・・?Ⅳ~Ⅴ?といった感じだろうか。成長しているらしい木は使わなくても登れました。

6P目:むらっち、5.9+、35m
ハイライトピッチ。登ってなくてもかっこいい。どこを登るんだ。。。リングピンがあるはず。。。よく見ると2つほどあった。

がんばれちむどんどん

広いチムニーをステミング。ところどころカムで取りながら突っ張りながら登る。登りやすい態勢が場所によってかわるのでロープが変にねじれないように上手いこと処理しましょう。

身体硬いと終わるかも

上部狭まっているところから北面にトラバースしているが、この辺りの岩が脆い。剝がれそうなフレークを恐る恐る使う。クラックもご活用ください。

ホールドもスタンスもしっかりあるのであとは大胆に登っていくだけ。むらっちは途中でつっかえたのかヘルメットを外してた。がんちゃんはヘルメットオン、ザックはぶら下げ方式で切り抜けました。

詰まったところでトラバース

登ってる途中の足元はこんな感じ

岩峰の懸垂支点を越えてトップアウト。てっぺんには#2~#3サイズのクラックが天を向いているので#2を1個、#3を2個使い終了点構築。ギンギンの太陽に照らされて溶けました。

カム三兄弟で

全日本滝汗協会

デプローチ
デプローチは懸垂で。まずは頂上から東に向き2段下のテラスまでクライムダウンで懸垂支点。残置ビナ2つと、怪しいロープが。木からもバックアップで出ているが。。。
ボルトの残置はアメリカンデストライアングルになっていたので色々処理しなおし。下降支点を利用して東面を40m懸垂下降するとバンド状テラスへと降り立つことができます。

懸垂も大変よ

いざ下降しようとすると残置支点の長さが微妙でカラビナが岩角に。ロープを引いてみるとびくともしない。こりゃ回収できねぇわ。ということで捨て縄を追加してカラビナの位置を調節。

次にテラス南端の下降支点から南向き(ノーマルチムニー)に空中懸垂し、上の広場へ。30mほどだろうか。Dirac seaの取りつきに降りるならこの2ピッチ目を広場に下りずに北側に下りればよかった・・・。その場合は残置がないが。

さて懸垂3ピッチ目。ブッシュを左手に10m程下ると大きな立ち木の下降点があるので空中懸垂。空中懸垂懸垂楽しいね。

あそこを登ったようだ

広場を南に向けて下り、突端に生えた大木で懸垂にて基部まで。
40mちょっとだろうか。そんなこんなで4回ほど懸垂しましたとさ。あとは取りつきに置いた荷物を回収しにちょっと上がりましたとさ。最後のモノレール道の登り返しが地獄でした。もう夏は行かん。あと懸垂支点が足元の場合が多いのでちょっと大変でした。めでたしめでたし。

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