雪の無い八ヶ岳を楽しんでみませんか。
八ヶ岳のクライミング。記録は十二分に転がっているし、特筆すべき記録というわけでもないがせっかくなので書き記そうと思いキーボードを叩いている。室温は25℃。外はきっと30℃オーバーだろう。まだ6月だ。
無雪期の八ヶ岳を訪れたのは数えるほどしかない。初めて訪れたのはクソガキ大学生のころで当時は山に行くのは数か月に1回程度であった。
2012年の8月6日、父と硫黄岳~阿弥陀岳などの南八ヶ岳を縦走した時だ。当時の私は花や高山植物を見たい、という目的で山に足を運んでいたようだ。高校生の頃に花や植物を栽培することにドはまりしていたからだ。
赤岳鉱泉でテント泊をし、紙パックか何かのワインを飲んだのを覚えている。あの時は確か雷が鳴っていたし、山頂はガスガスだったことを覚えている。クソガキだった私は気取ってワインを飲むのが好きだった。
しかし、モンベルのダサい緑のレインウェアを着ていたが、あれは結局ずっと使い続け、最終的には沢装備になってたいたがいい加減捨てた気はする。高校生の頃に父に買ってもらってから使っていたので15年以上は使っただろうか・・・?
物持ちは意外といいのだ。ケチともいう。
普段は冬のアルパインやアイスクライミングでしか訪れない八ヶ岳だが、そんな八ヶ岳にも無雪期に登れるクライミングルートがあり、マルチピッチクライミングを始めた当初、雲稜ルートはめざすものの1つであった。
月日は流れ、登りたいなぁと思いつつもなんだかんだ訪れることがなく今日に至った。今なら身構えずにフリーで登れそうだ。A0は甘え。荷物は背負え。
そんな中、サモサが暇そうにしていたのでどこかに行こうと誘ってみたのである。
6月なのにもう30℃を超え、猛暑日が続く。梅雨の合間を縫って涼しい場所を。。。
と思いつつ、すでに梅雨の前線は消えてしまったようで、梅雨なんてなかったのだ(数日後に復活するのだが)。
まぁ要するにたごちゃんが八ヶ岳の大同心雲稜に行ってたので、ふと大同心雲稜はまだ登ってないなーと思っただけというのは内緒である。
そうなればあとは適当に計画して、いつもの小僧たちもきっと暇だろうと誘い、1日だけ八ヶ岳に遠征するのは勿体ない。ということで2日間登るゆるふわクライミングプランを立てたのであった。
さて、大同心雲稜ルートについて簡単に紹介しよう。
大同心雲稜ルートが開拓されたのは西暦712年、古事記によれば、建御雷神が天照大神の命を受け、信濃の山々を巡った際に雲をまといながら登った岩が「大同心」であったという。
神は雲を裂いて稜線を辿り、天に通じる道を切り開き、その道がのちに「雲稜」と呼ばれるようになったとか。
そして月日はながれ1950年代、現代のクライマーがその神の足跡を追い整備したルートがこのルートである。ここは、神の通い路なのかもしれない。
というのはフィクションであり、実際のところは1957年(昭和32年)に慶應義塾大学山岳部(慶應雲稜会)が冬期登攀を想定して開拓したうんぬんかんぬんである。
今回は初日にゆっくりめスタートで大同心南稜を登り、二日目は大同心雲稜から小同心クラックを継続登攀する予定だ。テント泊装備でそれなりに歩くので右膝が悲鳴をあげるのは必至だろう。
山行概要
日程:2025年6月21日~22日
天気:おおむね晴れ、2日目は風が強かった
山行形態:アルパイン風マルチピッチクライミング
メンバー:がんちゃん、サモサ、むらっち、ユウタ
装備
主な共同装備:60mハーフx2、50mシングルx1、カム(0.4~2)x1、アルヌンx20(2PT分)
装備はいろいろ悩んだものの、2PTの想定でまぁこんな感じである。といいつつやっぱカムはいらんやろと思って私は持っていくのをやめたのであった。つまり私のPTではノーカムでいけたというわけである。
あとは個人装備でドローンとGoPro、一眼レフカメラを持ってきたので重かった。膝に来る。結局ドローンは他PTが多かったりして飛ばさなかったが。
山行詳細
<1日目:大同心南稜~小同心クラック>
美濃戸山荘の駐車場は満員御礼で右往左往。睡魔で目がバッキバキになったりと紆余曲折あったが、なんやかんやなんやかんや縁あって、やまのこ村の駐車場に停めさせていただくことができた。お姉さんありがとう。
予定より早く出発することができ、5時56分、グッドモーニングショーとなる。
アプローチ
おそらくこの記事を見る人の大半は各ピッチのグレードがどうとかより、アプローチや継続登攀うんぬんの話が気になると思うのでそこをまじめに書いていこうと思う。ただし、まじめなのはちょっとだけだ。
なんだかんだ2日目が雨予報に代わりつつあったので、メインディッシュの雲稜を1日目に登ることとした。途中、若者二人と話す。マムートのオレンジロープを携えていたのできっといい人だ。どこに行きますか?と聞かれたので鉱泉から大同心、雲稜へ!と答えると同じとのこと。彼らは登山道であっという間に消え、次に見たのは雲稜ルートの上だった。つまり雲の上ってわけね。
我々はゆっくりアプローチ、7時半ごろ鉱泉に着きテントをおっぴろげ、しばらくゆっくりしたのち登攀装備を整え出発進行は8時40分ごろであった。
オシャレメガネサングラス |
大同心は冬のルートもあり、雲稜も南稜もその先の小同心もアプローチはほぼ同じだ。まずは赤岳鉱泉から硫黄岳への登山道を進む。
5分たらずで右側に大同心沢の分岐の標識があるのでロープを超えてその沢に入っていく。踏み跡は明瞭でそれに従いルンゼを歩く。、しばらくしたら現れる分岐を左に進み渡渉し、大同心沢から離れれば大同心稜に上がることができる。
さらにここから30分ほど、痛い右膝をひきずりながら踏み後に沿って進んでいくと大同心の基部へとたどりつく。結構ズルズルな斜面もあるので要注意だ。食虫植物のムシトリスミレが自生しておりびっくりした。八ヶ岳で見られるとは思っておらずテンションが上がった。
大同心が見えてきた |
ムシトリスミレ |
そういえばこの壁を冬に見たなぁと思い、ここから左にちょっと進めば雲稜ルートの取りつきである。右手に見えるボロ壁リッジが南稜ルートだ。
10時過ぎ、大同心の基部に到着。
南稜は基部のバンドを右手に回りこめば、ハンガーと私の右膝のようにさびさびとしたリングがちらっとあるのでそこが取り付きとなるが、まずは雲稜と思っていたが先行PTが3PTほどだろうか。進みも悪そうで渋滞しているので、この日は南稜と小同心を登るプランに変更した。
雲稜の取り付き |
右膝をさすさすしながらクライミングの用意をした。
<1日目:大同心南稜~小同心クラック>
この日はユウタとペアを組んだ。彼は出発前から全フォローしますと訳の分からないことを言っていた。知ったこっちゃない。やらせる。
取り付きにはリングボルトと残置スリングが垂れ下がっている。ほんの少し上にハンガーがった気がするのでそこから長いスリングを垂らしてセルフにすればいいだろう。
南稜1ピッチ目:がんちゃん、35m
久しぶりの山って感じ。グレードは高くないが、岩が脆く高度感もあって緊張した。支点はすくないので長めのスリングなどを活用して適当にとるのがいいだろう。まぁなんか多分Ⅱ-Ⅲ級ぐらい。カム?使わなくてもいいんじゃないですかね。
1ピッチ目を登るユウタ |
南稜2ピッチ目:ユウタ、35m
フォローで登ったのでもはやあまり記憶にないが、こちらも1ピッチ目と似たような感じだった。ドームのバンドが見えるピークで終了。バンドにクライムダウンし、適当な懸垂支点があるので、50m1回の懸垂で取り付きへ戻ることができる。
南稜の頭 |
時間はまだあるので、次は小同心へGO。
小同心へはトラバースの踏み後があるのでそこを進んでいくと10分ほどで小同心クラックの取り付きだ。
小同心へのトラバース道をゆく |
広いテラスになっており、ハイマツ帯で雉も撃てそうだ。ソロのお兄さんと、その先に1PTほど登っているようだった。尚、クラックなんて名前がついているがジャミングなんて必要ないし、小同心凹角って名前にしても差支えはない気がする。
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小同心の取り付き |
小同心クラック1ピッチ目:ユウタ、20m
小同心クラックは以前登ったことがある。あの時はアイゼンと素手で登ったような記憶がある。左上していく感じで進む。フォローだと記憶が曖昧になる。高度感があって気持ちのいいガバガバホールドなフェイスを登っていく。
ヨシ |
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1ピッチ目、たぶん |
10m強で凹角に入り込み、もう少し進むとボルトがいくつかあるのでそこでピッチを切る。2PTぐらいなら十分居座れるだろう。
小同心クラック2ピッチ目:がんちゃん、30-40mぐらい
適当に登っていく。2ピッチ目で小同心の頭まで行ってしまったが、ロープの流れが最凶に悪くなるので途中で切るのが吉。
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ロープ引き上げが重すぎて、ソロお兄さんに手伝ってもらう始末。ありがとうございました。。。
ここから先は横岳の直下も簡単なクライミングゾーンだが、横岳まで行くと下山は硫黄岳もしくは地蔵尾根経由になり、時間も時間だしということで懸垂で取り付きに戻り16時半。
さらに大同心基部へ戻ってもと来た道を下り、赤岳鉱泉に17時50分に戻ってきました。
夜はサモサイノシシガパオライスとムラッチメロン。ヤミヤミ。この日は天気がよく中々に暑く、日焼け止めの塗りなおしは必須でした。水も多めに持ったつもりが怪しかったのでセーブしつつなんとか持ちこたえました。
<2日目:大同心雲稜>
グッドモーニングショー。5時スタート。アプローチは同じ。前日の反省を生かし水多めに持っていったが、晴れとはいえ風が強く、昼過ぎまでは肌寒いぐらいでした。ドローン?もう面倒だなと思ってテントにデポしたよ。
アプローチは前日と同じ。アプローチ中に声は聞こえるが小同心の方からだったようで、ラッキー1番乗り。鉱泉で軽量化したものの、取り付き前のハイマツ帯で再度雉を仕留めるなどした。この日はサモサとパーティーを組んだ。
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雲稜の取り付きで震えるむらっち |
1ピッチ目:がんちゃん、5.10a、30m
6時50分ごろ登攀開始。
丸いガバホールドをつないでいく感じ。序盤の核心もハンガーボルトがあるので、しっかりとホールドを見極めて態勢を整えながらいけば問題ない。ただあまりゆっくりしすぎて朝一ということもあり腕が張り気味になる。高度感もあるし。
がんばれがんばれ |
ハングを超えると草と浮石が多くなりアルパインチックになる。一手ずつ慎重に歩みを進める。ピナクル状の中に終了点があるのでそこで切る。あまり広くないので3人ぐらいでギリギリだ。
めげずにがんばるサモサ |
2ピッチ目:がんちゃん、5.9、30m~40m
とりあえずサモサにリードしてもらう。離陸がいまいちらしく、しばらくもじもじしてちょっと怪しいので選手交代。リーチがあればなんてことはなさそうではある。
そこから左へトラバースすると、凹角のスラブが現れる。
そこで10分ほど行ったり来たりもじもじする。
下からはあまり見えていないようだが絶対に落ちないぞという気持ちで細かな動きをしてルートを探る。
どうやらこのここが核心A1の箇所らしくスリングが垂れ下がっている。右いったり左いったりしてルートを探ってみたがやはりこのスラブを行かないといけないのだろう。
試行錯誤してなんとかムーブを見出して超えることができた。気合だった。
その後は草と脆い岩がが増える。悪い。非常に悪い。なんだこのアルパインはという気持ちになってきた。ヌンチャクは10本縛りなので玉切れに注意して取りすぎないように進んだ。
いくつか終了点らしきものが見えたがイケイケドンドンな私は伸ばしに伸ばした。30mぐらいだろうか。足場が悪い土の上でピッチを切る。あってるのか??という気持ちになるが多分大丈夫だろう。
3ピッチ目:がんちゃん、Ⅳ、40mぐらい
出だしは右へトラバースして上がっていく。
なんかよくわからん草付きや脆い岩たちと仲良くなりながらジリジリと進む。ほんまに悪い。大きい岩も剝がれそうだ。
コンコントツトツして岩の声を聴きながら、崩れるなよと願い進む。なんかちょっと難しそうな凹角が現れる。右側にピッチを切れそうなボルト。
進んだ。そうすると広いバンドが現れた。ここでピッチを切った。
4ピッチ目:サモサ、Ⅲ、10m
広いバンドのテラス。ここで一息つく。
ギ・ン・ビ・ス |
ドーム手前の最終ピッチなのでサモサにリードしてもらったが、なんとトラバースを10mほどして終了点=5ピッチ目の取り付きとなった。
イナバらない |
あれまー、一瞬やないかいと思いながらイナバウアーをわざとしてみたりしてみなかったりする。
5ピッチ目:がんちゃん、5.10a、25m
最終ピッチの。上から写真を撮ればバエそうだ。
さすがに腕も少し疲れてきている。深呼吸して気合いをいれる。
スターティン。
被り部分のホールドがよく探さないと見当たらない。ちょっと腕にもきてる。ジワジワきてる。パンプしそうになるが落ち着いてレストしたりする。
結構厳しい。足をしっかりあげたらいい感じのホールドに手が届く、だがしかしそれもちゃんと探して、向きを見極めないといけない。自然と声が出る、唸る。ギリギリだったがなんとか保持れた・・・。
ドームをリードするむらっち |
核心を超え、ドームのてっぺんに立つ。雄たけびをあげる。嬉しい。
カメラを構えながらフォローのサモサと、ムラッチユウタPTを迎えた。
11時半ごろ、登攀終了。
陽があたり、心地よかった。
後続PTもいたので稜線にあがり、ちょっと降りたところの懸垂支点から1回で降りた。あとは踏み後に沿って大同心と小同心の間のトラバース道へクライムダウンができる。
13時ごろ、赤岳鉱泉へ戻ってきた。
500円を握りしめ、シーフードヌードルをすすった。うまかった。
下山後、むらっちに500円を返した。
サモサにもっとリードしてもらえればよかったが3-4ピッチ目の切り方ミスったかなぁとか思ったり、いやまぁ凹角もそれなりだし、それはそれでいっかとか思ったりもしたが、まぁみんな無事だし楽しめたのでいいでしょう。という気持ちになった。
とにもかくにも、下山するまで気を抜いてはいけない。私みたいに鉱泉の手前で右足首をグネった拍子に右膝が中に入り込みまた靭帯を痛めてしまうなどするのだ。まぁ大したことはないはずだが(そもそも違和感はしばらくずっとあるわけで)、それでもダメージはあるわけで。
といいつつ、さらにそれをかばい、美濃戸までの間に6回も右足首をくじいたのであった。
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