[冬季アルパイン]伯耆大山北壁・別山バットレス中央稜

2021/02/09

2021年 アルパイン クライミング 雪山 大山山系 登山 日帰り山行

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約束の地、大山北壁登攀記。

とある伊吹山で、とあるミッチェル氏からこう告げられた「大山北壁に登ろう」。たったその一言だけを交わし、我々は別れたのであった。時は経ち、2021年2月7日。我々は約束の地へと足を運んだ。まぁよくわからん前置きはさておき、今回は伯耆大山へと登った。


鳥取の百名山である大山は標高はそれほど高くなく1729mであるが、豪雪の伊吹山と同様に冬季は日本海側から吹き付ける北風によって豪雪地帯となることが知られている。鳥取県西部の旧国名が伯耆国であったことから伯耆大山(ほうきだいせん)とも呼ばれている。

大山北壁・別山バットレス中央稜

山行概要

日程:2021年2月7日

山行形態:冬季登攀

メンバー:がんちゃん、妻、ミッチェル兄貴、ミッチェル兄貴の兄貴の4人



S大山火の神岳温泉「豪円湯院」05:0505:27大神山神社05:2805:32元谷・下宝珠越分岐05:47元谷堰堤右岸分岐05:4805:59元谷小屋06:3907:45別山バットレス中央稜取付09:1013:06大山頂上避難小屋14:1314:20石室方面との分岐14:24八合目14:37六合目避難小屋14:46行者谷分かれ14:50五合目14:5115:02三合目15:25夏山登山口15:29ゴール地点G


駐車場~本谷小屋

大山北壁周辺はアルペンムードがむんむんに漂っている。ゲレンデ感。県営大山第4駐車場に車を停める。ちなみに駐車料金は1000円だが夜明け前なので徴収人がいない。出庫時に払うことになる。


そもそもだが、大山だとか別山だとか弥山だとかよくわからない。なんでそんなにいろんな名前があるんだよ。とりあえず総じて大山というらしいっぽいことはわかる。そして、別山はなんとなくオマケっぽい感じで、弥山が一番高い峰なんじゃないかと思った。まぁどうせ「何も見えない」からどこがどうとか気にしても仕方ないのだが。


さて、元谷小屋へは駐車場から1時間ほどで着いた。天気予報ではそこそこ晴れ間が見えるようであったが結局この日は1度たりとも太陽を拝むことが出来ず、ずっとガスっていた。なぜなのだろう。なぜ私が行く山はいつもガスっているのだろう。


元谷小屋で装備を整える


元谷小屋で装備を整える。他に準備をしているPTが2組ほどいただろうか。シュラフで寝ている人もいた。ちょっとびっくりした。ちなみにトイレの蓋がどう見てもモアイだった。ぜひ現地で確かめていただきたい。


アプローチ、気温が高いので若干雨感がある

別山バットレス中央稜登攀

小屋から1時間ほどで別山バットレス中央稜の取り付きへと着いた。ちょうど目の前に2人組が1PT着いたばかりだった。私たちが今回登る1~3ピッチ目あたりは難易度的にはⅡ~Ⅲだろうか。人によってはコンテで登ったりするようで、実際に先行PTは1ピッチ目をコンテで登って行った。ちなみに核心は5ピッチ目で非常に曲者だった。難易度はⅣほどあるようで、序盤と中盤がなかなか登りごたえがあった。


1P目:がんちゃんリード、50m
全ピッチ、ミッチェルPTが先行しておりルーファイしなくていいのでとても気が楽だ。しかし彼らのロープは60m、こちらは50mなので終了点が微妙にずれてくる。ぐぬぬ。60mロープ欲しいなとか思ったが我が家にあるロープはダブルも50mだ・・・。軽量化だよ!!

別山バットレス中央稜取り付き

雪質は柔らかくアイゼンもアックスもよく刺さる。凍ってるところは特になかったと思う。岩もそこまで露出していないのでまぁまぁ登りやすく、最初の3ピッチはまぁまぁ簡単であった。


1ピッチ目は最初の壁を少し登り、リッジ状に上がる。ちょっとした雪庇に気を付けながらリッジの端まで進み50mをほぼ伸ばし切りスノーバーで終了点を構築。約10mほど先の灌木で終了点を取ってるミッチェルPTを恨めしく見ていた(というわけではない)。

ちなみにこのスノーバー、2本借りたのだが、1本を小屋のすぐ近くで落としてしまった。。しかも落としたことに気づかないという。来週回収しに行ってくれるらしいです()非常に申し訳なく・・・。

2P目:妻リード、50m
ここもとても簡単。所々出ている草を横目に登って行くのだが、なかなか妻のコールが聞こえてこない。どちらにせよロープいっぱいである。適当に待ちロープが張られたところでちょっと登って様子をみたりする。たるんだままならまだ準備が出来ていないなと判断。

常に張られた状態になったらどうやらセカンドビレイの準備ができたようだとアテにするしかない。風でなかなかコールが聞こえないのは大変だ。こういう時は無線か、ロープを引っ張ったりして合図が必要だが(あとは勢いと感)、今回無線は(なぜか)一瞬で充電が切れてしまい使い物にならなかった。

ここも5mほど登り少し長いリッジ状を進む。リッジの途中でロープがいっぱいになったようだ。この先はまだ簡単なリッジが続くのでビレイを解除し、少しコンテで進む。ミチェPTが終了点をとってた灌木から再スタートすることに。

3P目:がんちゃんリード、45m
もう少しコンテで進んでも良かったなと思いつつも、灌木に支点構築しちゃったしまぁいいやと思い登り始める。と言っても序盤20mほどはただの尾根。そこから岩場が現れる。とりあえずカム#2番を岩に突っこむなどする。

迷わずトレースをたどり右側に回り込み上を目指す。ひ弱な木しかねぇなぁと思いながらなんとか中間支点を取りつつ登り、ここでミチェPTのお尻で終了点構築、やっと…会えたね!!。ここもほぼ50mいっぱい伸ばし切った。それにしてもスノーバーが良く刺さる。ここまで1P離陸から1時間半ほど。

スノーバーで支点構築

ここでミチェ氏が前を登ってるので少し待ちながら補給タイム。妻がきんつばをフォールする。残置・・・。

4P目:妻リード、50m
ここはあえてスノーバーを渡さず行かせてみる。だって私の支点ないんだもの。ちょっと登ってなんだかわちゃわちゃしている妻。セカンドのミチェ兄貴兄貴が追いつく。ヌンチャクがないとかわけのわからないことを言ってる。


15mほど進んだところで二人で何かしているようだ。そこから進んでさらに時間が経過する。ま、まだかー?30分経ってやっとビレイ解除。そこからゆーーーーくりとロープアップ。さらに10分経過しやっと登れるようだ(何をそんなに時間がかかっているのか)。

途中でなんかやっていたのはどうやらカム#1を使っていたようだ。カム使用講座かい!!カム横にはリングボルトと残置スリングがあった。それはさておきもう少しロープ張って??(真顔)


終了点に着くと大岩に座った妻が「教えてもらった~」とドヤ顔をしていた。どうやらカムを使って終了点を作っていたようだ。それでこんなに時間がかかったんですね。

キャメロットはいいぞ

5P目:がんちゃんリード、50m
そういえば時折左側の尾根から他PTのコールが聞こえてきたりした。さて最終ピッチだが、こが核心部だ。この5P目、序盤からそれなりに立った岩場で抜けるのに時間がかかりそうだ。ここは1組ずつ進む。

登る前にちょっと横に支点を構築しなおし、いざ離陸。離陸からしんどい、壁高くない?ルーファイをしなくていいのでありがたいが、ミチェ兄弟は二人とも185cmほど、かたや私は172cmだ。妻も160cm後半ぐらいなので・・・彼らの行く先を越えるのは大変かもしれないと先が思いやられる・・・。

このリーチ、同じように越えるのは非常に大変である

序盤の被った岩場で1ピン目を取ろうとするがまともにスリングをかける場所もない。何とか雪を掻き分け岩の隙間を見つけてカム#2をぶち込もうとするがなかなか決まらない。しかもなかなかキツイ態勢でふくらはぎがプルって来る。若干焦りつつも、ここで支点とらないと怖いなぁと思いながらなんとかカムを置いてきた。

そう、置いてきたのだ。ほぼ決まっていないのはわかっているが、とりあえず突っ込んだ。気合でアックスを力いっば打ち込み絶対に落ちるなよ俺ーと言い聞かせ力いっぱい体を持ち上げた。勢いで登りあがり、すぐさま次の支点をとれるとこまで進む。カムが外れたのが見えたが見なかったことにした(見えたけど)。次を取ってしまえばなくても同じようなもの(同じではない)。尚、次の支点は細い枝数本だ。これが藁にも縋る思いというやつか。最終ピッチは序盤から痺れるぜ。

そこから数mのっぺりしたところを進み第2の岩場へ。一瞬左右どちらに行くか迷ったが、ありがたき先行者の足跡。雪って素晴らしい。いざ右へ参らん!!第2の岩場もなかなかに壁ってきているので慎重かつ大胆に進んでいく。それにしても支点が取りづらくヒヤヒヤする。

30mほど進んだところで、めちゃくちゃ足場の悪いところが現れた。これどうやって登るんだよとしばし格闘する。そうここが核心部だ。慎重180cmオーバーならリーチを生かして少しはマシなのだろうか。

右手方向にある木バイルをかけて登ってみようともしたが、心もとないのでやめた。何とか腕を伸ばしバイルを思い切り叩き込みしっかりと効かせ体を持ち上げた。

核心部を越えたらあとは尾根ってるところを少し進みロープがいっぱいになったところでスノーバーを叩き込み終了点を・・・雪が・・・浅い、バー半分も刺さらねぇ!!。ちょいと掘ってみたらすぐに石が出てきた。スノーバーを石の間に横に差し込み石を乗せたりしてなんとか効かせて支点を構築した。若干心もとないが仕方ない。申し訳程度にバイルも突き刺し、そっちでセルフを取った。こっちはあまり効いてなさそうだ。

登りから支点まで痺れる(真顔)最終ピッチとなった。ちなみにビレイ解除コールから30分ほどかかって妻が登ってきた。セカンドでも大変だったらしい(真顔)。

弥山山頂へ

5ピッチ目が終わり、フリーになった。なった後でミチェ組はコンテであることに気づいたが見て見ぬふりをした。ちなみにロープの束ね方は性格が出るようで私は非常に雑である。改めるべきだ!!(バラバラになると危ないしね)

山頂まではちょいとクライムダウンしてみたり、ガスった細いキレットを歩いたりなかなかにスリリングだった。フリーだし・・・。踏み跡がなかったらチビってたかもしれない。ガスってるから下なんも見えんけど。

クライムダウンしこの先のキレットを進む

そしてミチェ兄弟の案内のおかげで無事に弥山山頂。ありがとうございました!!とても楽しかったです。

山頂へ続く一般ルート

ロープのまとめ方に性格が出るというか綺麗にまとめましょう

妻と私と時々ロープ

頂上避難小屋で装備を片付け、補給してから下山しました。3合目の少し下で妻がケータイを落としたことに駐車場に着いてから気づき、取りに戻ったとかって話はここには書かずに裏話としたいと思います。残置多過ぎぃ!!

山頂避難小屋

避難小屋内は結構広く、2階は明るい。アイゼンは外して入ろう

ん?剣が峰?行ってないですね・・・。まぁいいんじゃないですかね。1度も太陽が見えないガス天気だし・・・

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。旅先でご当地牛乳飲みがちなのって私だけじゃないですよね?

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